あのね、あなたに、こいしてる

戀月 唯(rengetsu yu_i)

第XX楽章 これは、ただの、こいものがたり

第♾節 これは、ただの、こいの譜<ウタ>

ねぇ、

あの秋の日を覚えている?

私は覚えているよ。

忘れたくても忘れられるはずがない。

君と出会えた、あの日のことを。


ねぇ、

あの日、出会えたことを後悔していない?

私は後悔していないよ。

例え、仕組まれたものだったとしても、

また出会えるなら、

今まで味わった悲しみも苦しみも

もう一度経験してもいいほどに。


ねぇ、

この世界に生まれて幸せだった?

私は幸せだったよ。

遠回りしてたどり着くのが遅くなったけど、

幸せだった。


ねぇ、

愛を知って苦しくなかった?

私はとてもとても苦しかったよ。

愛されたら無条件に幸せになれると思ってた。

けど、違った。

気持ちが強ければ強いほど、

悲しいことも辛いことも待っていた。


でもね、それ以上に

愛され、愛することは幸せだった。

苦しさを超えれば超えるほど

もっと君が愛おしくなっていった。

とてもとても、幸せだった。


君と恋して、愛し合って、満たされて、

産み落とされてよかったと思えた。

 

蒼くどこまでも続く空、

葉を風で揺らし、子守唄を歌う木々、

優しい香りを纏い、雪のように舞う花弁、

困ったようにはにかむ君の笑顔、

君と見た景色は今でも

君の笑顔と共に心に焼き付いている。


君と生きたかった。

あの日がずっと続けばいいと思った。

ずっとその手を握って、

隣を歩いて行きたかった。

ずっと声を聞いていたかった。

眠るなら、歳を重ね、君の隣で眠りたかった。


ごめんね、君もきっと悲しかったよね。

ごめんね、1人になって、辛かったよね。

愛してしまって、…ごめんね。



今度は消して手を離さないから、

1人にさせないから、

どうか、また巡り合ってほしい…。


その柔らかな声と優しい手を、

また私に向けてほしい。


また、抱きしめてほしい。



もし、君が

私の手を取ってくれたら、

恋してくれたら、

愛してくれたら、


絶対に、君との幸せを諦めないから、


どうか、

もう一度だけ出会ってくれませんか?

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