評価ランクSSS
『アルテ』 ジャンル/漫画
□簡易データ
【既読巻数】15巻
【ネタバレ】無し
【最終予想ライン】SSS
【一言感想】大人のような知恵と、子供のような純粋さを持つ、熱意ある主人公が世界を変える名作
□感想
随分と久しぶりになってしまいましたが、更新です。こちらで更新するのが果たして目につくものなのかと大分迷いましたが、一応存在しているのだから、ここにぶら下げておくのが一番いいだろうと思って、こちらにしました。
最初に断っておきますと、この後もしかしたら感想を書くかもしれない『アイの歌声を聴かせて』に続いて2例目の、「SSS」評価の作品になります。
自分の評価ランクをずっと見ている人だと分かると思うのですが、どんな作品でも基本的に「SS」より上を出すことがなく、名作と呼んでいいレベルの作品はそこに分類されるのが常でした。
それは自分が「SSが一番上のランク」と決めていたわけでもなくって、ひとつのランクに分類しても問題は無いだろうというレベルでの幅しか無かったということが原因になります。つまりは「SS以上という足切りラインを超えらえるレベルの作品間に有意な差は無かった」という話になります。
そのランクをぶっ壊したのが、前述の『アイの歌声を聴かせて』であり、『アルテ』になります。
そして、このふたつで、どちらかを上に置かねばならないとすれば、自分は『アルテ』の方を置くと思います。
つまり、現状「自分が人生で見てきた作品の中でトップ」という評価になります。この評価が覆ることは恐らく今後まずないでしょう。これを超える作品が出てくるときが、自分が創作や創作論を執筆することをやめ、ただの鑑賞者に戻るタイミングだと思っております。
重大なネタバレを避けつつ作品について解説を加えていきましょう。
基本的に主人公の「猪突猛進さ」というのは「無知さ」と併存していることがほとんどです。
少年漫画の主人公が「何も知らないからつっこんで、被害を甚大にして帰ってきて現実をしる」というのは、ある意味当たり前の動きで、そうやって「大人」になっていく。それがほとんどすべての作品で行われる過程で、上手い下手はあれど、この動きをしない作品はほとんどなく、あるとすれば「既に大人になった状態ではじまる」というパターンだけです。恐らくどんな作品でもこれは変わりません。
ここまでくればもうお分かりかもしれませんが、本作の主人公・アルテは「大人のような冷静さ」と「子供のような純粋さ」を持ち合わせた主人公です。
自分が知る限りでは同じような主人公に「月に寄りそう乙女の作法」の大蔵遊星と、「カミカゼ☆エクスプローラー!」の速瀬慶司がいますが、それくらいです。
特にアルテは前者の大蔵遊星に近いのですが、それよりも大分人間味が強いです。遊星は余りすっころびません。割と「なんでも完璧にこなして」いきます。そのため彼がそう言ったキャラクターであることが実感を持ちにくいう欠点があります。
しかしアルテはわりとすっころびます。悩みます。そこは割と「普通の人」なんです。
けれど、最終的には「大人になる」という、よくある心の動きをせずに「子供のような純粋さ」を抱えたまま、熱量で人を動かしていく。それによって人々の考えが変わったり、彼女の立ち位置がどんどんとステップアップしていく。
その世界の美しさは、一般的な「子供/大人」の切り分けで描かれた作品では絶対になしえない。それくらいに作品の世界が美しい。余りの美しさに、現実に戻ってきたときに暫く上手く論理的な思考が出来なかったくらいに。
恐らく、この作品は「創作活動をしているかどうか」や「熱意をもって生きているかどうか」でも刺さり方が全く違うと思います。なので、自分が抱いた感動程を得るのは、人によって難しいかもしれません。
それでも、自分はこの作品をSSSとしたい。それは、アルテのような主人公。それが今後世界を変えていくと信じているし、そういった方向に動いていくはずだと確信しているから。
今、響かなかったとしても、恐らく未来には必ず響く。そして、響かなかったとしても楽しめるだけの土壌を持っている。この作品はそれだけのものだと自分は確信しています。創作活動をする上で「読んで欲しい」ではなく「読むべき」作品だと思っております。
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