第22話【空に駆けるSTS】
誰しもが童心に戻れる今は、聖夜――――テレビから女性アナウンサーの声が淡々と聞こえる。
『世界中の空を駆け回るサンタさんの相棒事、トナカイが先日未明に亡くなりました。お煎餅状態の遺体を司法解剖の結果、時間外労働過多による過労死と原因不明の圧迫死です――――』
それを見る全世界の人々は、とても神妙な面持ち、モザイクだらけの画面越しにかじりついて夢中になった。
カメラが撮すは、鮮血飛び散る雪景色。
とてもとても悲惨な物で、事態の重大さに固唾を呑む子ども達。
しばらくすると、サンタさんの物と思われるボイスレコーダーが流れた。
『あーあーっ。もしもし撮れてますか?。最近は少子化と囁かれていますが、実を言うと子ども達の願いは生死問わず叶えていました。その分、トナカイには無理強いをしてきました』
太く低い声、度重なる咳払い。
時折、聞こえる
炭酸飲料を注ぐ音。
その合間に、話を続けるサンタ。
『もう、純なる子にプレゼントを配れないかもしれない。その不安と責任が私を苦しめています。大人たちには〝辞めないで!!〟と無責任にも家の郵便ポストに入れる方もしばしば……』
一拍程おいて、覚悟を決めたのか力強く宣言した。
『――――ですが子ども達の〝夢〟の為には、
――――サンタクロースより
アナウンサー『では、現場から以上です。続いてのお天気は、空一郎と森原さんの〝感謝の雨乞い1000回〟をお送りします』
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