第221話0221★剣に《魔力》を込めてみる
笑ってそう言いながら頭を撫でる神護に、白夜は不安そうな顔をしつつも、足手まといになりたくないと思って、握っていたマントを無理矢理意識して放した。
リオウは神護の言葉に、とても甘えた声で喉を鳴らし、怯える白夜に寄り添う。
クゥルルゥゥゥ~…キュルルルゥゥゥ~ン……ルゥルゥ~……
甘えた声で喉を鳴らすリオウの頭をワシワシと撫でた神護は、張った《守護結界》からスルリッと出る。
自分が張ったモノなので、出入りが自由なのだ。
恐竜並みの虹色オオトカゲは《守護結界》に阻まれて、目の前に好物のヒリュオンの子供が居るのに食べられない憤りで、獰猛な声を上げる。
ゴアァァァァァ~……ガギァァァァ~………ギシャァァァァァ……
ガリガリ……ザリザリ……ガァーン…ドシーン………
そして、頑強に張られた《守護結界》に爪を立て、齧って破壊しようとしていた。
見えない壁が出現し、その壁に自分の爪も牙も通らないと判ったらしい虹色オオトカゲは、巨大な足で《守護結界》を破壊しようと
が、かなり大きめに張った神護の《守護結界》は、神々の加護が強いために、虹色オオトカゲの爪や牙、そしてその体重をもってしても、一切通らず、小揺るぎもしなかった。
神護は、その大きさに内心では辟易しつつも、リオウを狙ったというただ一点の為だけに、
しっかし……マジで、でっけぇ~よなぁ~……ホタルの視線で…
上から
見た目はティラノサウルスとコモドオオトカゲを足したような姿で
マジでキラキラした虹色の頑丈な皮膚持ち、この剣で切れるかぁ?
いや、えらく切れ味はイイ剣だけど、流石にこの大きさはなぁ
………っと、そうだ、ラノベに《魔力》を剣に通すっての有ったな
アレを試してみるか? 魔法剣だったっけか?
もしヤバそうだったら、剣に《魔力》込めるの止めればイイし……
そう思った神護は、転生前の白夜から受け取った剣に、自分の《魔力》をゆっくりと込めて行く。
剣がより早く、より鋭くなるようにと………。
この剣に、どのぐらい《魔力》が乗せられるか判らねぇ~からなぁ
ただ、獲物が大きすぎるから、剣だけじゃちょっとキツイもんな
そんな風に考えながら、少しずつ《魔力》を込めていくと、軽く反発を感じ、神護はそこで《魔力》を注ぐコトを止める。
握る剣の柄をクッと握った瞬間、神護は《守護結界》の透明な外殻に挑んでいる恐竜並みの虹色オオトカゲの首を狙う。
そして、神護は《魔力》を込めた剣でもって、一瞬でその太い首を叩き落したのだった。
そう、剣のたった一振りで、すっぱりとその首を切り落としたのだ。
次の瞬間、大地が大きく揺れる。
ドォォ~ン ズズゥ~ン ズズズズドォ~ン
と、いう音と共に、頭が大地に落下したのに続いて、胴体も大地に沈む。
地響きと共に沈んだ、虹色オオトカゲの頭と身体を見ながら、神護は思わず呟く。
「…っ…うっぷ…くっ…はぁ~よかったぁ~…サバンナ帯の上で…
これが…
瓦礫と化した、砂利から大きな岩まで飛んできたか…はぁ~…」
サバンナの帯の中でも比較的、雑草が生えている場所で休憩していたお陰で、舞い上がる砂埃が少なめだと判断した神護は、マントで鼻から口元を覆っていた。
砂漠の風が、もうもうと立ち上った砂塵とわずかなサバンナの枯れた草を、あっという間に散らせる。
神護は、恐竜並みの虹色オオトカゲをじっと観察していたが、本当に一瞬で絶命したらしく、死後に暴れるということは無かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます