第210話0210★ファンタジー世界の住人ってもしかして、獣人?



 黄昏時の礫砂漠れきさばくの美しさに、歩きたい衝動を覚えた白夜は、自分を抱く神護を振り仰ぐ。


 「そうか……んじゃ、少しだけだぞ、この礫砂漠れきさばくでは

  どんな敵が出て来るか、全然予想がつかないからな」


 そう言って、神護は白夜にヒールを履かせて礫砂漠れきさばくへと降ろす。

 そんな白夜の隣りでは、リオウが不安そうな顔で礫砂漠れきさばくを見ていた。


 まだまだ、なりはデカイが子供なので、身を隠す物陰がない上に、少し前に虹色オオトカゲに襲われたコトで、不安を感じているらしい。

 それでも、神護や白夜と離れる気が無いリオウは、歩き出した白夜のあとを追う。


 リオウは、小さくか弱い白夜を護るのは、自分の役目だと自認している為だ。

 勿論、神護の強さを信頼しているリオウは、物陰の多い樹海に少しだけ後ろ髪を引かれつつも、礫砂漠れきさばくへと足を踏み出していた。


 そんなリオウのわずかな躊躇ためらいと決意と、嬉しそうに前を歩く白夜の姿をゆっくりと追いながら、神護は考える。


 ああ…そういえば、白夜に【転生術】を施した卵を手渡されてから

 俺が遭遇したやつらって、ネズミーランドのもひっくるめて

 ぜぇ~んぶ、異形としか言えない人型ひとがたの亜人種?ばかりだったなぁ


 それも、大半というか、9割はネズミの獣人だったしなぁ………

 あとは、不細工な犬型いぬがた狐型きつねがた猿型さるがただったかなぁ?


 こっちって、もしかして、それ獣人が基本なのかな?

 だとしたら、獣相じゅうそうの無い人間って存在しないのかな?

 

 この世界は、意思疎通とか出来る普通の人間は居ないのかなぁ?

 そういう知識は………ズキンッ………と無理かぁ~……はぁ~…

 あとで、その辺も白夜に聞いてみよう


 知識や《魔力》を譲渡された頃みたいに、七転八倒にはならけど

 まだ、知識方面を思考すると痛みがあるからな…

 無理して知識はを引っ張り出すより、白夜に聞いた方が早いし


 あぁ~あ……出来れば、多少見た目が異形な姿でもイイから

 知的で温厚な種族と知り合いになりたいもんだ


 はぁ~徒歩の旅も悪くは無いけど、出来れば乗れる馬が欲しいぞ

 一応、白夜の弟達を取り戻すっていう目標がある旅だからなぁ


 あの水晶に映った姿を考えると、取り返すのは早いほどイイ

 くそぉ~………徒歩だと移動の距離が稼げねぇーからなぁ~……


 たった、数百キロの距離を移動するのに、何ヶ月もかかるのは

 いただけねぇーよなぁ…流石に


 そう、考え込みながら歩く神護に、白夜が振り返って言う。






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