第163話0163★異世界には、ペットという存在が居ないようです



 一方、唐突に何か包まれた感触を感じて硬直していたヒリュオンは、側に立つ神護の存在に気付いて、怯えて耳をペタッと倒し、うずくまってしまう。

 が、かなぁーり大きい為、小さくうずくまるようにしても、その頭の位置は神護の腰辺りにあった。


 ちなみに、このヒリュオンは、神護の身体から微かにれる〈ドラゴン・ソウル〉のホタルと、植物系の魔物?の【ルシフェル】を感知して怯えていたのだった。


 神護は、でかい図体でぷるぷるしてうずくまっているヒリュオンの頭を撫でてみた。

 とうぜん、怯えているヒリュオンは、ビクッとするがそのまま大人しくしていた。


 うわぁ~…見掛け以上に、こいつの毛ってスベスベでふわもこだ

 テレビで、たまぁ~に特集される、ユキヒョウよりも

 毛足が長いし……すごく、さらさらしている


 その手触りに、くすくすと笑いながら、神護は腕の中の白夜に問い掛ける。


 「…で……どうする白夜?こいつ…ヒリュオンだっけか…を……

  ペットとして連れ歩くか?」


 神護の問い掛けに、白夜は聞きなれない単語に小首を愛らしく傾げながら訊き返す。


 「父上 ペットってなんですか?」


 白夜の言葉に、神護はちょっと黙り込む。


 えぇーとぉ……こっちじゃ……ペットって言葉が通じないのか?

 でも…どう見たって、こいつヒリュオンは家畜じゃなからなぁ………あっ……

 そうそう…愛玩動物って言えば良いのかな?

 じゃなきゃ………ラノベ定番の従魔かな?


 「んーと…ペットっつーのは、ただでるだけの動物?

  いや、でる生き物全部のことを言うんだ………」


 神護の言葉に、白夜は再び小首を傾げた。


 「えぇ~とぉ 父上 でるだけの動物ですか?

  それは いったい何の為に飼うんですか?

  必要なことなんですか? 使役動物とは違うんですか?」


 白夜の発言から、白夜の種族には、そういうペットを飼う習慣が無いことを知る。


 う~ん……なんて説明したら良いのかな?

 俺が生まれ育った国では、ペットを飼うってぇ~のは

 ごくごく、普通のことだと思っていたからなぁ……


 こっちでは、ペットの代わりに使役動物か?

 家畜に近い扱いってことかな?


 とりあえず、俺達の習慣っていう風に、説明する方が

 白夜には、わかりやすいかな?


 「必要とが必要無いとかではなく ただ 可愛いモノを

  でるという………そうだな、そういう

  種族的な本能を、満足させることかな?」


 「本能ですか?」


 生き物を愛玩するという習慣が無いので、白夜は困惑を更に浮かべる。


 「ああ…例えば…そうだなぁ……基本的に、小さな生き物は

  見るからに可愛いだろう?」


 神護の言葉に、ちょっと小首を傾げてから頷く。


 「確かに 小さく幼いモノは 可愛いと思います」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る