第152話0152★閑話 神護の存在が消えた・その時、竜治とギンは…その後



 竜治は、左手首にツキンっとした痛みが走った時、小さく舌打ちする。


 チッ………思ったよりも痛いよ、ギン

 これで、キミが標準語になってくれると、僕も助かるんだよね

 理解できない訳じゃないけど、イライラするんだよね


 そんなコトを思っている間に、ギンはカパッと口を開けて、自分が付けた噛み傷をペロッと舐めて癒し、満足そうに言う。


 「竜治さん ありがとう………これで 大丈夫

  それと ごめんなさい…今のボクの《魔力》じゃ届かない

  神護さんが渡った世界へ………渡れない


  ボク あっちの世界のモノだから………還りたいよ

  つがい蘭華らんかに 逢いたいよ


  ボクを信じてくれた竜治さんも 神護さんも大好きだし

  離れたくない でも あっちに渡る門は とても遠い


  けど ボクが流されたあそこには 空間の歪みがある」


 そう言って、ギンはネズミーランドが在る方向を向いて、コクコクと頷いてから言う。


 「良かったぁ~ あそこの空間の歪みは健在のようだ

  本当に僅かだけど あっちから微量の魔素が感じられます


  ボク達がこちらで《力》を付ければ 向こうにも渡れるかも

  ただ 今は全然ボクの《力》が足りないから 門が閉じる前に………


  ボクも全部の《封印》を 完全に取り払って失った《力》を

  取り戻さなきゃ……… 竜治さん 付き合ってくれます?」


 ギンの言いたいコトを理解した僕は、無意識に握りこぶしをしていた。


 「ああ、僕だって、このまま指を銜えて待つなんてしないよ

  《力》を付けて、かならず神護のところに行く


  なんと言っても、僕は神護の婚約者、その1だからね

  婚約者その2の美姫と、婚約者その3の美亜がどうするかは

  一応聞いてあげるつもりだけどね


  あとは、唯香ちゃんと優香ちゃん、それに真三郎は………

  ちょっと、一緒に行くのは、難しいかな?

  年齢的に、肉体的にも精神的にもキツイだろうからね


  今日一緒だった、美鶴に水鳥に慶治は武虎は………

  まず、無理だろうね………メンタル的にキツイと思う


  だから、行くとしたら、僕達婚約者3人かな?」

  



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