第132話0132★神護、白夜を腕に樹海の小川沿いを歩く1 白夜の食事は?



 神護は、コップの水をゴクゴクと飲み干し、新しく汲み上げたモノを手に、白夜の元に戻る。


 「危険はないようだ…ほら、白夜」


 「はい 父上」


 嬉しそうに、なみなみと清水の入ったコップを受け取り、コクコクと飲み始める。

 それを確認し、神護は空の水袋へと清水を入れる為に小川の中の小岩を歩き、より清い場所で汲む。


 その水袋は、ゆうに神護の身体を5人分くらいは入れられそうなほど盛大に膨らんだ後、シュンッという音と共に、2リットルのペットボトル4本くらいの大きさに落ち着く。


 目の前の現象に、目を白黒させている神護に、白夜が言う。


 「父上 ソレ 魔法の水袋です 限界いっぱいまで

  水が入ったんで 一瞬だけ 元の大きさになったんです」


 白夜の説明に、神護はちょっと小首を傾げてから頷く。


 「そうか……結構はいるんだな……

  でも、流石魔法の水袋……思っていた以上に、軽いな


  ところで、もう1杯飲むか?」


 神護の問いに、白夜はちょっと考えてから首を振った。


 「どうせ 父上は この小川の側を下るのでしょう」


 「ああ…そのつもりだ……小川の流れにそって行けば………

  そのうち、街へと行けるだろう


  川の水は、その先でれていない限りは

  街や村などに、引き込まれているからな……


  樹海ン中を、あてもなく歩くよりは、下界へと出れる

  可能性が強いしな


  流石に、獣道を歩き続けるのは、ちょっときつい………」


 そう言いながら、神護は水袋を剣をさげている方とは反対の腰にくくる。


 そして、岩に座らせた白夜の手からコップを手に取り、背負っている布袋の中へと放り込む。

 神護は、白夜を腕に抱き上げる。


 「とりあえず、周囲に気をつけながら、この小川の側を

  下って行こう………一応、白夜も気を付けて見てくれ……」


 「はい 父上」


 可愛らしく頷いた白夜を腕に、神護は小川の流れが見える位置を保ちながら、下流へと向かって歩き始めた。


 黙々と歩く中、少し深瀬がある部分に、時折、銀鱗を見かけるようになって、神護はかなり小川の中流ぐらいまで下りて来たのを感じていた。


 水面に銀鱗が閃いて……魚影も、たまに見えるように

 なったから………そこそこ下がってはたよなぁ………


 そういえば、白夜に水しか飲ませてないけど…………

 ごはんは、どんなモンがイイんだ?


 もう、見た目は3歳児……いや、少し育ったか?

 ずっと抱っこしているセイかな? じゃない…………


 今は食べ物だ…普通に食事って出来るのか?


 「ところで、白夜……」


 「なんですか? 父上」


 「お前の食事って、もう、普通に食べれるのか?」


 神護からの質問に、白夜はコクっと頷く。


 「大丈夫です 普通に食べれます」






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る