第92話0092★ネズミーランドは危険がいっぱい?2


 竜治の問いに、神護は軽く首を振る。


 「なにも……ただ……ふっ…と…気付くと……

  まるで、樹海みたいなところに居て………


  とにかく、その辺をうろうろして………

  気が付くと……こっちの世界では

  朝になっている……みたいな感じで………


  最初こそ…あそこの境内で

  妙な気配に纏わり付かれたから…………


  なんかにかれたのかなぁ~……

  …って思ったさ………


  そう…自殺者の悪霊みたいなさ……

  なんつったって、テレビでよく見る

  富士の樹海みたいなところだから


  まさに…鬱蒼うっそうとした………

  …森林の中で…………ただ、うろうろと

  するだけなんだよなぁ…………」


 嘘は言って無いぞ

 言わないことがあるだけで…………


 竜治は、すっげー霊力あるし

 勘がイイからなぁ………

 下手に、何も無いよりはいいかな?


 竜治は、神護の様子を確認しながら、頷いた。


 「そうなんだ……それで

  霊障れいしょうらしきものは感じるかい?」


 「いや、そういう感じのが無いから

  逆に困っているんだ


  お陰で……ちょっとばかり

  睡眠不足ンなってる気がする」


 竜治は、ここ最近、神護が学校の授業が終わると、休憩時間や昼休みに、ベタッと机に突っ伏している姿を見ていたので、納得という顔をする。

 が、しかし、それ以外に困っていることがないのでは、雲を掴むような話しなので、竜治もありきたりのことしか言えなかった。


 「まぁ……神護が、対処に困るような

  コトがあったら……相談して欲しいな……


  一応、ボクは婚約者1号だしね…もちろん

  2号の美姫も、3号の美亜も控えているよ」


 その軽口に、神護は目を瞑ったまま、フッと笑う。


 「ああ、わかっているよ……

  どうしようもなく困ったら

  竜治達に言うから………


  つーことで……睡眠不足気味だから

  少しうたた寝するわ」


 そう言って、神護は双眸を閉じた。

 途端に、ホタルが思念で話しかけてくる。


 [マスター ここは あまり良くない場所ですね

  妙な気が わだかまっています


  よどみと歪みも ……お陰で……

  空間がいびつに重なっています]


 ホタルの言葉に、神護はちょっと考える。


 [ふぅ~ん……空間の歪みかぁ……

  まぁ…人が集まるところだからなぁ……


  空間が、いびつに重なっている

  っつーのは気になるけど


  今は、ちょっと休息が欲しいかな…………


  何時、また…あっちの異世界に

  ひょいっと引き込まれて


  獣人達と、戦闘なんてことに

  なるかわからない…からなぁ………


  俺は……休んでいるから

  ココをしばらく動く気はないから…………


  ホタルは、周辺の偵察も兼ねて

  遊んで来てもイイぞ……


  かえりそうな卵が心配で

  アンデットになったぐらいだ


  しばらく、翼を伸ばしてなかったんだろう


  せっかくだから

  世界を観察してこいよ……]


 神護からの心話に、ホタルは首を傾げてから、スイッと空に飛び上がる。


 [それじゃ……少しだけ……]


 そう言って、ホタルはネズミーランドの探索に出かけたのだった。

 神護は、ここしばらくの睡眠不足を補う為、本格的な眠りへと誘われる。

 そして、穏やかな時間が流れるのだった。






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