第81話0081★アンデット飛竜は語る7 やらかしちゃいました

 神護の言葉に、アンデット飛竜は首を傾げ、何事かを考え込む。


 『少年ヨ 名ヲ教エテクレヌカ?』


 なんで、今になって名前? まぁ…いっか………

 そう言えば、このアンデット飛竜にも

 名前ってあるのかな?


 唐突な要求に、神護は首を傾げながらも、あっさりと答える。


 「ああ、そう言えば、名乗ってなかったな。

  俺は、真城ましろ 神護しんごっていうんだ。

  お前は? なんて、名前なんだ?」


 何の気なしに、神護は問い返した。

 それが、更なる幸運と重い責任をもたらすモノになるとは、流石の神護でもわからなかった。


 アンデット飛竜は、神護の問いに頷いて答えた。


 『我ハ ヒスイ ト 呼バレテイタ』


 神護は、首を傾げる。


 「ヒスイ? ああ翡翠ってことか?

  つーと、生前はき通るような


  綺麗な緑色のウロコを持っていたのかぁ?

  綺麗だったろうなぁ~


  たしか、翡翠って別名〔蛍石ほたるいし〕って

  言われているんだよなぁ………


  暗闇の中で、光をあてるとぉ……

  ぽぉ~っと、内側から明るく光って

  綺麗なんだよなぁ………


  ああ、そう言えば……翡翠って……

  フローライトとも言われてるんだっけ」


 以前、テレビ番組で見た翡翠の神秘を思い出し、今は、灰褐色となった巨体を見上げ、神護はちょっと残念そうに言う。


 が、一方のアンデット飛竜は、驚愕していた。

 そして、無意識に、巣から3歩ほどさがり、頭を神護の前にさげる。


 母親より授けられた、真なる名前の《真名》を言い当てられてしまったがゆえに……。


 『我ハ ヒスイ 《真名》ヲ

  【フローライト】ト言イマス


  我ガ主ヨ 我ノ〈ドラゴン・ソウル〉ヲ……』


 そう言って、ふわりと神護の前に綺麗な翡翠のアクセサリーが出現する。

 いったい幾らするの?というような、見事な翡翠細工の腕輪に、神護は困った顔をする。


 「えっとぉ…俺…なんかマズイことしたか?

  たしか〈ドラゴン・ソウル〉って…

  不本意だろ」


 そう言いつつも、ふわりと浮かぶ腕輪を一応、手のひらに受け取る。


 うわぁぁぁ……すげぇ~綺麗だなぁ……

 でも、コレって、もらっても良いのか?

 いや、俺、光物好きだから嬉しいだけだけど……


 『イヤ コレデ 我ガ子達ト共ニ

  主ニイテイケル


  最後ノ卵ヘノ執着カラ

  飛ブコトモデキズ コノ地ニ

  【竜ケ峰りゅうがみね】ニ 縛ラレテイタノダ』


 「そうか………で、なんて呼べば良い?

  翡翠で良いか?


  【フローライト】っつーのは

  《真名》だからマズイよな


  それとも〔|蛍石(ほたるいし)〕からとって……

  ホタルって呼べば良いか?」






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