第44話0044★神護の日常と過去と修学旅行8*修学旅行当日・見学開始



 翌朝、予定時間に全員揃った神護達は、意気揚々と東京駅に向かった。


 理事長京極きょうごくの主義により、修学旅行は東京駅で新幹線に乗ることから始まり、東京駅で新幹線から降りたらお仕舞いなのである。


 現地集合、現地解散のノリである。

 

 そして、東京駅、新幹線改札口で、各クラスごとに、点呼をとり全員揃ったクラスからホームに並ぶのだった。


 こうして、出発時間に間に合うのか?と担任を苦悩させながら、修学旅行は開始されるのだった。


 きつい性格の竜治と硬軟合わせる神護が仕切るクラスは、早くから全員が揃い、新幹線のホームに担任と一番乗りをしていた。

 座席も各班ごとに決めていたので、その順番通りに整列している神護達。


 さっさと、新幹線に乗り込み、修学旅行で回る場所の確認をお揃いのタブレットで確認する神護達がいれば、スマホで確認する班もあったりする。

 おおむねマジメな生徒が多いクラスだった。


 もっとも確認が済めば、お互いに迷惑にならない程度のざわめきがあちらこちらで始まった。


 神護達も、新幹線の外の景色を楽しんだりしながら、定番のトランプや花札などをしている。


 他の班では、オセロや囲碁、将棋にチェスという……かなり…渋めの…ゲームをする者達もいた。


 ナンプレやクロスワードパズルをするものも、眠るものも、スマホやタブレットで本を読むものもいた。

 それなりにくつろいでいるらしい。


 高校生の修学旅行という割には、かなり大人しい彼らだった。


 それと、理事長の京極きょうごくや校長の佐竹の主義に沿って、携帯ゲームもスマホゲームも絶対に禁止というきつい校則もある。


 もっとも、神護達は、携帯ゲームの類いをもともとしないので、なんの問題もなかったりする。


 今、流行のぽ○もんも禁止という校則に、生徒達は従っている。


 校則に抵触すると、期末試験の点数を各科目ごとに20点引くという重いペナルティーがあるため………。

 誰も…携帯ゲームに手を出すことは無かった。


 そう、誰だって、赤点まっしぐらは……補修と追試験が待っている……ので、避けたいと思うのが…………だった。


 が、宿泊先の旅館やホテルに滞在中は携帯ゲームOKなので、そこまで横暴というほどでもない。

 この辺が、京極きょうごくの理事長としての上手いやり方といえよう。


 ゆるやかな支配?というところか?


 神護達の班は、伊勢神宮を1番最初に回ることにしていた。

 それは、修学旅行で1番元気なときに、一番に見たいと思っていた神殿や橋をじっくりと見るためである。


 人間って、1番好きなモノを、1番最初に食べるか…………。

 おとっときとして、1番最後に食べるかの二種類に分かれる。

 神護達は、最初に食べる派だった。






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