第15話0015★送り出す者達 後編



 その言葉に、若き神官が希望を口にする。


 「出来れば、皇子達も…………」


 「そこまでの《力》を使うと

  門の痕跡こんせきを消すことが

  出来なくなります」


 それは、大神官並の《力》ある者なら、空間移動する為の門が、ここに存在していたことを知られてしまうキケンがあるのだ。


 場合によっては、その軌跡をたどられる可能性もあるのだ。

 そう………敵を、真の故郷へと招いてしまうキケンが…………。


 「先代の鳳皇ほうおうの命により…………


  ビャクレイ様の双子の弟君と

  その伴侶を深き眠りの水底に沈めて

  今も守護獣の中に眠らせ…………


  ラー・ムーン・ルリ姫と

  共に行かせるなんて


  荒業をしてしまいましたから…………

  我等の《力》も、足りなくなります」


 「出来るコトを、優先させましょう」


 「そう…ですね…封印された…

  邪悪なる存在…の…眷属に……

  気付かれてしまいますね…」


 暗い会話を始めた頃、ザッザッと歩く音が聞こえて来た。


 神官達が振り向くとそこには、武器を携えた神官?という集団が居た。


 「引退したとはいえ

  我等も戦う者だったのだ


  だから、我等がそれは

  なんとかしよう」


 幻影で、黒き河の国の軍勢を惑わしている最中に、冥府の女神サー・ラー・レイリアンの神殿の地下深くに有る泉に沈められ、死と変わらない眠りについている者達の封印をいたのだ。


 しかし、いたからといって、直ぐに眠りについていた者達が目覚めて動くわけではないので、放っておいたのだった。


 深き眠りについていた者達は、戦う《力》の有る者達だったので…………。


 自分達が、なぜ覚醒めざめされたのか、理解わかった彼等は、動けるようになると直ぐに、女神サー・ラー・フローリアンの神殿に来たのだ。


 「辛い役目をお願いしてすみません」


 深かぶかと頭を下げる先代大神官長に、戦士の集団は笑って応える。


 「何のこのような時の為に

  深き眠りの底に沈められていたのだ


  門をくぐりし彼等を

  我等が守ろう


  戦って果てても、もはや

  悲しむものは居ないのだから…………」


 そうおどけて、笑って言う。



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