第59話 社会科見学の攻防戦-2

昼食時、レナンジェス達のテーブルをモブ男女が欲望に塗れた眼差しで見つめる。


チャールズとジュドーだけが制服であとは女装男子と淑女だけだったからだ。一見ハーレムに見えるのだろう。


「ママ、アーン」


アリスは大きく口を開けてレナンジェスにアーンを強請る。


「甘えん坊さんねぇ」


完全にオカンモードに入ったレナンジェスは子供に食事を与えるようにアリスに食べさせる。


『アリス様だけズルいですわ!』


ネイとリムルも参戦してくる。


(鳥の雛じゃないんだから)


レナンジェスはそう考えながら3人に食事を食べさせる。


『あれって…百合の世界ですわよね』


『え?親子ではありません事?』


『でもライディース様まで食べさせてもらっていますから…』


『もしかして…レナンジェスはフタナリでは…』


『何ですって!だったら前から後ろから…キャー』


モブ女子達の妄想が膨らんでいく。


「…少し自重しようぜぇ。周りの目が気になるんでよぉ」


チャールズが雰囲気を察してアリスに注意する。


「仕方ありませんわね。ミーア姉さまアーン」


「私は自分で食べられますので」


ミーアは困惑しながら言う。


『アリス嬢とミーア嬢が百合だったら…』


『そんな光景…興奮するぜ』


『ダメだ…妄想が膨らむ!』


今度はモブ男子が鼻の下を伸ばして妄想しだす。


「おいおい、年頃の男女の妄想力はすさまじすぎるだろぉ」


チャールズは苦笑いを浮かべながら言う。


「大丈夫ですわ。婦女子の妄想の中ではチャールズ殿下とカイザル殿下のカップリングもありますから」


「何でそうなるんだぁ?」


「あら、妄想する事は自由ですわよ」


チャールズとアリスがとんでもない話をしだす。


「食事中の話ではありませんわ!」


不意にミーアがキレる。


「まあまあ、食事は楽しみましょうよ」


ジュドーがそう言いながらモブ令嬢とイチャつく。


(ダメだ…このテーブルは)


そう思いながら他のテーブルを見回すと隣のテーブルで俺様王子がいじけているのが目に入る。ミュージーとルーアを第一王妃に取られたみたいだ。更に小悪魔~ズにアーンをさせている。


「って、何で私の従者が居るんだ!置いて来たのに!!」


思わず叫ぶレナンジェス。


「ワラワが連れて来たのだ。捨てられた子犬みたいで思わずな」


そう言いながら半ズボン姿の小悪魔~ズの頭を撫でる第一王妃。


「そ、そうですか…」


レナンジェスはそう言いながらも少し怒った表情をする。


「ごめんなさい。王妃様命令で」


申し訳なさそうに言うヒューイとドゥーイは捨てられた子犬の様な視線をレナンジェスに送る。


「王妃様命令なら仕方がないわね」


そう言いながらコーヒーを飲み干す。俺様王子はつまらなさそうに王妃を睨んでいた。




午後は湖のクルージングをする。何故か第一王妃がレナンジェス達に合流してくる。


「百合の花園だ。ワラワが放って置くはずも無いだろ」


それが第一王妃の言い分だった。そして女子を全員侍らせると満足げにクルージングを楽しむ。


「俺様が空気になるとは…」


アリウスは暗い表情を浮かべる。


(乙女ゲームが何故、百合展開になる!)


レナンジェスも内心で突っ込みを入れるが楽しそうな女子たちを見て何も言えない。


『あれは…NTRなの?』


『え?淑女同士ですわよ!』


『まさか…NTRに目覚めて殿方同士と…』


周りのモブ女子が騒ぎ出す。


『レナンジェスロックオン』


『目標、鉄壁のスカート攻略!!』


『ダメだ…見えそうで見えない…』


『ウッ…そろそろ下半身が擦れて限界が…』


『イクな!まだ攻略できていないのだぞ!!』


『それでも…ニーソックスとガーターベルトのコンビネーションで…』


『絶対領域だけでこの威力とは…』


周りのモブ男子がホフク前進しながら口々に叫ぶ。


「甘いですよ。私のスカートは難攻不落です」


レナンジェスはそう言うとモブ男子から距離を取る。


『もう駄目だ~』


モブ男子が一斉に叫ぶと動かなくなる。辺りにシケの花の香りを漂わせて。

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