第42話 チートアイテムは恐ろしい
「これをどうするか?」
レナンジェスはチートアイテム“魅惑の香水”を目の前に考え込む。これを使えば周りの好感度は急上昇だ。しかしレナンジェスの立場上、男に襲われかねない。
「俺様王子、ライディース、小悪魔~ズにエロエロされかねない。しかしミーア嬢やアリス嬢に渡しても意味は無さそうだ。どうするべきか?」
レナンジェスは使い道を決められぬままベッドに潜り込んだ。
翌朝、学園中のモブキャラがレナンジェスに殺到する。
『魅惑の香水を譲ってくれ』
『金に糸目は付けない!』
『お願い、あれがあれば玉の輿に乗れるの!』
生徒達が口々に言いながらレナンジェスに迫りくる。
「あれは相手を指定できませんよ?そんな物を使ったら女性は手籠めにされかねませんし、男性は何人も女性を養う事になります。その覚悟がありますか?」
レナンジェスは皆に問い掛ける。何しろ使う場所を間違うと薄い本が何冊も出来上がる展開になりかねない代物だ。
ゲームでは使える場所が限られるので問題は起きない。そして甘いセリフをいっぱい貰える。
それで何回も耳を妊娠させたことを思い出すレナンジェス。
『ならば私達で買います!』
そう言ったのはネイとリムルだ。おそらく密室でレナンジェスと薄い本の展開を望んでいるのだろう。
「あのアイテムは封印します!異論は認めません!!」
その時だった。急に皆が跪く。それを見たレナンジェスは恐る恐る振り返る。
「え?…王妃様」
レナンジェスは慌てて跪く。第一王妃、第二王妃が揃って現れたからだ。
『レナンジェス“魅惑の香水”を渡しなさい』
「ハッ、それでは部屋に取りに行ってまいります」
レナンジェスはそう言うと慌てて部屋に戻った。
(騒がしい…)
“魅惑の香水”を持って戻ると第一王子カイザルと俺様王子アリウスが王妃と何やら言い合っている。
『良いではないか。兄弟と言えども腹違いだ。母を交換して使っても大丈夫だろう』
『大問題です!子を交換して“魅惑の香水“を使うなんて何を考えているのですか!!』
『其方等に弟か妹をだな』
『止めてください。聞いただけで悪寒がします』
話を纏めると王様は不全らしい。そこで王家を増やそうと子供を交換して子を増やそうとしているみたいだ。
『レナンジェス、命令だ!それを何処かの山の中で燃やせ!!』
『させぬ!』
追いかけようとする王妃をW王子が取り押さえる。しかし武術に秀でた2人の王妃だ。簡単にW王子は投げ飛ばされた。
『さあ、それを献上せよ!』
「…ダメです」
『何故だ?』
「ミーア様やアリス様を悲しませる結果になるからです」
『…ちょっぴり子種を貰うだけだ』
「結果、孫と弟が腹違いの兄妹になってもですか?」
『それは…考えただけでも興奮する』
(あ、この人達はダメな部類だ。これは逃げるのが正解だな)
レナンジェスは猛ダッシュで逃げ出す。
『追え!レナンジェスを捕まえたものには褒美を取らす!!』
W王妃の言葉で生徒が一斉にレナンジェスに襲い掛かる。それをかわしながらレナンジェスは水の翼を顕現させ大空へ飛び出した。
「ここまで来れば安心だ」
レナンジェスは山の中腹に舞い降りる。そして辺りを見渡すとレンガ造りの一軒家が目に入る。
(何故、こんな所に家が?)
不審に思い一軒家に歩み寄るレナンジェス。すると小悪魔~ズと悪役令嬢ミーアの護衛2人、間者のメイドに取り囲まれる。
「何を…」
『中でミーア様とアリス嬢がお待ちです』
そして家の中に招かれるレナンジェス。
「やはりここに来ましたね」
アリスはニコリと笑う。
「でも、こんな所に一軒家を立てて意味がありますか?」
ミーアはアリスに問い掛ける。
「フフフ…私は失敗しない女ですの」
アリスはそう言うとレナンジェスに女装を命じる。仕方なく女装したレナンジェスは2人に問い掛ける。
「何が目的で?」
「おままごとをする為よ」
アリスはそう言うと素早く“魅惑の香水”をレナンジェスから取り上げる。そして5人の従者にレナンジェスを抑えさせるとレナンジェスの鼻の中に香水を吹きかけた。
「あら?アリスちゃんにミーアちゃん、学校はどうしたの?」
レナンジェス“オカン”モードになった彼は2人に問い掛ける。
「あの…レナンジェス殿?」
「ママでしょ!それよりも学校は?」
「今日は休みよママ」
アリスはニコリと笑いながら答える。
「そうだったかしら?ところであなた達も仕事はどうしたの?」
『俺達か?』
「ママに言えない事でもあるの?」
ミーアの護衛は困惑する。皆、彼の子供と思い込んでいるみたいだからだ。
「きょ、今日は遅番なんだ。今から行くよ」
「待って、今からお弁当を作るから」
レナンジェスはそう言うと手早くサンドイッチを3人分作り籠に入れる。
「お仕事頑張るのよ。それと早くお嫁さんやお婿さんの顔も見たいわ」
そう言いながら3人を見送るレナンジェス。
「これは…まずいのでは?」
「あぁ、殿下達に報告だな」
そう言うと3人は駆け足で魔法学院に向かうのであった。
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