第56話 砂嵐

 アナログ放送時代の話。

 番組が全て終了するとスノーノイズと呼ばれる画面に変わる。

 これが一般的に砂嵐と呼ばれる画面なのだが…

 ザーッという音と白い点がランダムに画面に広がる、真夜中に起こる現象に不気味さを覚えたものである。


 この砂嵐画面を眺めていると文字や映像が紛れるという都市伝説が広まった。

 それは死者の顔であったり、本日、死ぬ予定の死亡者リストだったり、NHK料金の未払い者リストだったりするそうだ。

 そんな噂を確かめようと僕も深夜のTVを見続けたこともあった。

 何も起こらないまま放送が始まるわけだが…


 あの雰囲気は何か不可思議な現象を引き起こすような雰囲気があった。


 もし…アレをじっと見つめていたら、ソコに人の顔が浮かんできても、何某かの文字が見えるかもしれない。

 一点を見つめると視界がブレるように…


 エジソンも電磁波を使って霊界と交信しようとしたそうだ。

 霊は人と話したがっているというほど霊魂の存在を肯定していたようだ。


 経営者を引退したエジソン、案外、科学者という者の行き着く先はオカルトなのかもしれない。

 否定された存在を肯定してみたくなる、そんな野心かもしれないが…

 いつかスマートフォンではなくスピリットフォンなるものが世に出るかもしれない。


 その時はぜひ、ノイズの向こうからエジソンの弁を聞いてみたいものだ。

「やっと…俺に追いつけたのか?」

 嫌味を言われそうだが…。

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