第50話 ヤマタノオロチ

『八岐大蛇』

 伝説だと8つの頭、8つの尻尾を持つ、血でただれた胴体は8つの谷を跨ぎ、ヒノキや杉が生えている。

 デカすぎだろ…

 素行不良により高天原たかまがはらを追放された、須戔鳴尊すさのおのみことに討伐されるのだが、女好きのスサノオは飲まれるはずの娘を褒美にもらうのである。

 この夫婦からボロボロ神様が産まれるのである。

 退治の仕方も酒に酔わせて腹を裂くという卑劣極まりないネガティブな手法である。

 尻尾から出てきたのが有名な『天叢雲剣あまのむらくものつるぎ

 何を思ったか興味が無かったのかスサノオはその剣を姉ちゃん『天照大神あまてらすおおみかみ』にプレゼントしちゃう。

 ちなみに姉ちゃんが引き籠ったのはスサノオのせいである。

 出雲の国が気にいっちゃったスサノオは宮殿を建造して住みつくわけだが、その建造の際にシレッと読んだのが、

「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」

 日本史上、初の和歌である。

 なんのこっちゃわからんが…


 ちなみに『八岐大蛇』とは、氾濫する川の象徴だとか、噴火する山であるとか云われているのだが…自然現象を神や魔物に例えるのは神話のセオリー、僕は個人的に

 製鉄技術との関連話が面白いと思っています。

 砂鉄が取れ、たたら製鉄と呼ばれ優れた製鉄技術を持っていた出雲の国、真っ赤な目をした『八岐大蛇』各々の頭が谷に流れる荒ぶる川、血を流し続けるただれた腹は溶けた鉄の比喩、尻尾から出てきた剣は鉄製の刀、天照大神あまてらすおおみかみに捧げた剣は出雲が大和(天皇)に服従するという構図と読み解く説である。


 古事記に限らず、各国の建国にまつわる神話には驚くばかりだ。

 結局、この手の神話をベースに物語は変貌しているわけで、どんな小説も超えられないような気がする。


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