第16話 レベルアップ

 ユイによるとケイの前方にある木々を15匹のホワイトモンキーズが様子を見るように囲っている。


「おもしれぇ……どれだけ力が上がったか試してやる」


 ケイが警戒態勢を構えた瞬間、1匹のホワイトモンキーズが跳躍して大木の枝の上から飛び降りてきた。その勢いを利用して、両手を広げて、ケイを襲いに掛かる。だが、ケイにはそんな単調な行動は意味を成さなかった。


「遅いな」


 魔獣を食べたことで動体視力が上がったのか、落ちてくるホワイトモンキーズがゆっくりと止まっているように見える。

 そして、ケイはホワイトモンキーズの攻撃をひらりと躱し、着地をした瞬間に『威嚇(小)』を発動し、一瞬だけ動きを止める。

 その隙にケイは顔面に拳を一撃入れる。その瞬間、ホワイトモンキーズは吹っ飛んだ。体を回転させながら大木に画面からダイブした。


「……すげぇ。これが俺か……」

「ん……ケイ、やっぱりかっこいい」


 ユイがケイを見て拍手をする。一方、殴られたホワイトモンキーズは立ち上がる素振りはなく、木々の上にいる他のホワイトモンキーズは未だに様子を見ている。


「……! ケイ、1匹逃げた」

「なに!? 追いかけるぞ」


 ユイがコクンと頷き、走り出そうとすると木々の上から残り13匹のホワイトモンキーズが一斉に降りてきた。ケイとユイは間一髪で反応し、すぐさま後ろに退く。

 ホワイトモンキーズ達が警戒態勢に入り、10匹と3匹の割合で別れ、それぞれケイとユイに当たる。


「……舐められてる?」

「…………たぶんな?」


 ユイの方が3匹なのに不服なのか、ご機嫌が斜めな顔で不満そうに文句を垂らす。一方、ケイのはやばかった。


「!?……おい、後ろのやつあれはなんだ?」


 ケイの攻撃を担当している10匹のホワイトモンキーズはさらに8匹と2匹に別れて、その2匹がいきなり足の下に赤い円が出来た。そして、伸ばした手から火球が出ていきた。


「おい! ユイ! あれはーーー」


 ケイは「なんだ!?」と聞こうとユイの方を見るとムシャムシャ、ムシャムシャとホワイトモンキーズ3匹を殺して、頭から食べていた。


 ……ムシャムシャムシャムシャと。


 そして、しっかりと噛んで飲み込んでから喋り出した。


「……あれは魔法」

「……魔法か」

「……そう、魔法。……いただきます」


 ケイがよそ見をしている間に火球が2つ同時に放たれ、直後に残りのホワイトモンキーズも同時に動き出した。が、今のケイには余り意味はなかった。


「無駄だ!」


 飛んでくる火球もゆっくりと見え、横に躱す。それと同時に『威嚇(小)』を繰り出し、襲ってくる8匹のホワイトモンキーズの動きを止める。そして、一気に3匹の顔面に拳を打つ。


「キィイイイイ!!」


 叫び声と共に『威嚇(小)』の攻撃が切れ、襲ってくる。再び、ケイは『威嚇(小)』を繰り出そうとすると、発動しなかった。


「!? なんでだ?」


 チャンスと見たホワイトモンキーズは襲うとするが、攻撃はケイにことごく躱され、カウンターをくらい、他と同様に体が回転しながら吹っ飛ぶ。前衛の5匹が倒されたのと同時に後衛の2匹が火球を打つ準備をしていた。


「何度もやらせるか!」


 ケイは再び『威嚇(小)』を発動すると、今度は成功した。それを受けたホワイトモンキーズの2匹は火球の発動の取り消しを喰らった。体は動かず、魔法は取り消されたホワイトモンキーズには後がなかった。


「キィイイイイ!!??」

「これまでの人生お疲れさん。俺の糧となれ」


『威嚇(小)』が解けたと同時に、ケイは両手で拳を顔面に喰らわし、ホワイトモンキーズの体を吹き飛ばした。

 その間に、ユイはムシャムシャ、モグモグモグと残りの1匹を食べていた。


「…………ケイ、欲しい?」

「自分のやつがあるから要らん」


 倒し終わったホワイトモンキーズの1箇所に集めて、恒例の顔面砕きをして確実に生命を断つ。そして、毛皮を持ってきたホーンラビットの角の先で丁寧に剥ぎ取って行く。

 もちろん、終わると血抜きをする。この作業が、終わると最初のホワイトモンキーズを1匹を生で食べる。ムシャムシャ、モグモグモグモグと。


「うぇえ……やっぱり生はくそ不味い……」


 それを美味しそうと眺めていたユイに「要るか?」と聞くと、頷き、尻尾を振りながら向かってきた。そして、チョコんとケイの横に座ると、ひと言。


「……ケイの間接キス、いただきます」

「あっ……」


 ケイがユイの言葉を理解した頃には、1口目はすでにユイの胃袋の中だった。

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