魔王少女 レミア

肉まん大王(nikuman-daiou)

第1話~魔王少女の旅立ち~

この物語はとある田舎の魔王の娘のお話です


魔王と勇者達が決戦をしていた。


「これで止めだ!」


勇者の振るった剣が魔王に最後の一撃を加え魔王はその場に倒れた。


「これで悪さも出来ないだろう」


そう言いながら当たり前の様に勇者達は魔王からの戦利品を持って去って行った。


「くそぉー勇者達め!たかが酔っ払って人間と喧嘩したくらいで・・しかも絡んできたのは人間の方なのに・・」


ここの魔王はよくある魔王達とは違い特に人間に悪さなどしていなかったが、たまたま人間達が行っていた「花見」と言うイベントの事を知り「やってみたい」と言うだけで人間に化けて花見会場に行ったが・・つい飲み過ぎて元の姿に戻り人間に怪我をさせてしまった。


その事に尾鰭が付き魔王が人間を襲ったと聞いた勇者達が名声欲しさに立ち上がり魔王討伐と言う運びになった。


「しかもわしのお気に入りの魔王マジックアイテムコレクションまで持って行くとは・・勇者達め絶対に許さん!」


と魔王は言った物の勇者達との戦いで精も根も魔力も金も尽きていて復讐どころではなかった。


そして更に悪い事にこの事を近隣の別の魔王達に知られ自分の領地すら危うい状態になっていた。


「このままでは他の魔王にこの地まで奪われてしまう・・しかもあのマジックアイテムの事がばれたら・・」


この世界では各地に色々な魔王が存在し各魔王が領土を保有していて、よくいる悪さをする魔王やここの魔王の様に悪さをしないでひっそり暮らしている魔王まで様々なであった。


勇者達にボロボロにされた魔王の間の玉座で魔王はため息をつきながら


「とりあえずわしの変わりに別の魔王をここに立てて近隣の魔王達にアピールをして・・そしてあのアイテムを何とか回収せねば・・」


そう言うと玉座を立ちとある部屋に向かった。


魔王には3人の後取りがいたが全て女子で男子には恵まれなかった。


「まずは長女のヴィクトリアから・・」


ドアを何度かノックするが返事が返って来なかった。


「はぁー最後にヴィクトリアに会ったのは20年前だったかな・・」


諦めて別の場所に行こうとすると魔王の後ろから次女のナラムの声がした


「あ、お父様・・おねーちゃんなら大都会のデーモン殿下と魔界のワイハに行くって言ってた」


「何!まだあのデーモンと遊んでいるのか」


魔王が地面を蹴るとナラムが怒っている父親の顔を見ながら。


「殿下はハンサムでお金持ちだし大都会は楽しくてここは田舎でつまらないってヴィクトリアが言ってたわ」


「田舎には田舎なりにいい所が・・」


そんな会話をしていると魔王が思い出した様に


「丁度ナラムの所に行こうと思ってて・・ナラムに話が・・」


「断る!」


話を最後まで聞かずにナラムは即答で答えた


「まだ、何も言ってない」


「お父様が私に話なんて碌な事がなさそうだし・・私は新しい魔法の研究で忙しいからまた今度にして」


そう言うとナラムは転移魔法を唱えて消えてしまった。


「ナ、ナラムちょっと待て・・」


一人取り残された魔王は


「これはまずい・非常にまずい・・実力実績ならヴィクトリア、知識ならナラム・・出来ればこの2人で何とかしたかった・・残る3女は魔力だけなら姉達を凌ぐが・・まだ幼すぎるし・・ここ100年位部屋から出た様子もないし、娘なのに会っていない気がする・・」


そう思いながら3女の部屋にとりあえず向かった。



「うん、いいよレミアがお父さんに代わって魔王になる」


人間の外見年齢で言うと15歳くらいの小さなレミアは魔王になる意味が本当に分かってるのかと思うぐらいニコニコ笑顔で答えた。



魔王の間、玉座に魔王と魔王に膝をついたレミアがいた。


「まずレミアに言っておく、この世界の魔王は・・下級デーモンから上級デーモンまで・・魔王は魔族の最上位に位置する・・そして強くなくてはならない・・」


長々と魔王の心構えを話終わると最後に魔王が熱く語りだした。


「まずは魔王を名乗る為に必要な5つの魔王マジックアイテムを集めるのだ」


「マジックアイテム?」


レミアが不思議そうに言うと


「そうだ、勇者達に奪われたマジックアイテムを取り返し、5つ全て揃えて装備して始めて近隣の魔王と対等になりこの地の魔王を名乗れるのだ」


何故熱く語りだしたか分からなかったがレミアは


「よく分からないけど5つ集めてくればいいのね」


レミアがそう言うと魔王は5人の勇者の分かる限りの詳細を書いた紙を渡してくれた。


「それと、レミア1人だと心弱いので・・」


魔王が手を叩くと老いぼれたデーモンが現れ


「いかがいたしました魔王様?」


「レミアがわしの仇討ちの旅にでる為に手配した者をここに」


そう言われた老いぼれたデーモンが申し訳無さそうに。


「魔王様・・手配したデスナイトとリッチですが・・」


「何かあったのか?」


「いや、そのー・・」


「もったいぶらずに言え」


「では・・魔王様が勇者に負けたので別の魔王の所に行くと言って出て行ってしまいました」


「な、なんだと・・」


その話を聞いていたレミアは。


「お父さんOKだよレミア頑張ってみるから」


「お前一人では勇者達に勝てる訳がない」


魔王が怒り口調でそう言うとレミアは笑顔で。


「あ、大丈夫、友達と行くから」


「な、何?友達?」


レミアはそう言うと召喚魔法を唱え始めそこに2人の何かが現れ、それを見た魔王は


「お、お前達は魔界のニッチョメのママのやよいちゃん(キングマミー)と地下に封印していた魔女カカラ」


そう言われたキングマミーが女口調で


「あーら、魔王さん御久し振りねー最近お店に来てくれなかったしー名前を覚えてくれてて、やよいは嬉しいわー」


続けて魔女が小さな声で


「私はレミアと約束があるから」


それを聞いた魔王は「何でレミアがこの2人と知り合いなのか」と疑問と不安に思いながらもとりあえずはアイテム回収に出れそうなので。


「やよいちゃん、カカラ・・レミアを頼む」


こうして魔王になる為?のレミアの謎のアイテムを集める旅が始まった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る