序章


・・2018年夏・・


 三浦敬三は27歳の誕生日を目前にし、ある決意を抱いていた。それは、憧れの山である北海道知床にある羅臼岳を単独で登山する事であった。


 三浦敬三は幼い頃から父1人子1人の父子家庭で育ち、父親は片親がためにハンデを背負わせないように強くなってもらいたいと思い敬三と2人でよく登山をしてはキャンプを張り、そこで自然を通して敬三に自然の有り難さ、厳しさ、そして、テントの張り方や火の起こし方、釣った魚の捌きかたや、食べられる野草や薬草などを教えて敬三を逞しく育て困難に打ち勝つための教育をしていた。

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