夜中のハイテンション【平安時代編】

※平安時代に現代語を採用したらどうなるか検証※


「突撃となりの晩御飯!」

「おぅわ、びっくりした。何だお前かよ。来るなら前もって手紙くれよな。何も用意してねぇんだわ」

「連絡しないよ。夜這いだもん」

「へー。あ、セバスチャン、何か飲み物持ってきてー」

「聞いてねぇし!」

「んだよ、どうせお前、いつもの上層部のゴシップネタしゃべりたくて仕方ないんだろ」

「それもあるけどぉ・・・」

「んじゃ早くして。ちゃっちゃと」

「ええー・・・。三条の大納言の所の娘いるじゃん。美人って噂の」

「うん」

「実は俺、昨日仕事でちょっと寄ってさ、偶然見ちゃったの、ブラインドごしに!」

「マジか、で!?」

「マジ小野小町」

「マジか!」

「マジだよ。もー、すっげー綺麗だったー」

「いいなー、小町」

「いいよなー、小町」

「でもな、小町には」

「実際小町じゃなくて小町だけどな」

「憑いてるって噂でさ」

「ついてる?」

「狐」

「まじで」

「大納言のとこ代々稲荷信仰でさ、けっこう熱心だったらしいんだけど、※前の大火事※あったじゃん?あの年はほとんどお布施できなかったらしくてさ」

「仕方ないよな、館燃えたんだし」

「でもよ、それで稲荷が怒って娘に取り憑いたとか」

「えー」

「それから娘は夜中に油を舐めたり、四つん這いになって歩くって噂らしいぜ。昼間は普通だから家の者以外誰も気づかないとか」

「こーえー。リアル安倍晴明じゃん。一度お布施ケチったくらいで?稲荷まじこえーな」

「こえーよな」

「・・・で?」

「ん?」

「もう終わり?」

「だからよば、」

「んだよー、もー、セバスチャンがお茶持ってくる前に話終わっちゃったじゃんー」

「聞けよ人の話。あー、もういいよ、じゃ、今晩泊めてってよ。明日蹴鞠けまりしようぞ、俺んちで」

「だめ。方角が悪い」

「まじで!?」

「五黄殺」

「まじかー、じゃあしょうがないなー」

「うん、しょうがない」

「・・・じゃあ、やっぱりさ、せっかく今二人きりだし、夜だし、俺とまぐわいを」

「坊ちゃま、お茶をお持ちしました」

「セバスチャンんんんん!!」





あまり読まなくてもいい補足

※安元の大火

安元3年4月に平安京内で起こった大火災。家二万、町は二百以上焼け、貴族の館も多く燃えた。こいつらマジ強運。

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