EP10 ファフロツキーズ



「ホントいつ見ても綺麗だね」


最初はしんどかったこの丘も慣れればなんて事はない、軽々と駆け上がる。


スキップしながら。


私は丘の上から見える街の光で瞳を輝かせていた。


「あ、流れ星。何か言わないと!」


私の手を引いて、彼女はそう言った。


唯一無二の友人。


で、いつも二人で夜な夜なこの丘に来て、星空や街を見ながら他愛ない話をしている。


「願い事かー、もう無いかな」


私の住んでる地域ではかなりの頻度で流れ星を見ることが出来る。


「えぇ!もったいないよ!」



「もったいないって、ここじゃ沢山の流れ星が見れるじゃない、私は沢山願い事したよ」


「叶った?」

彼女は首を傾げ聞いてくる。


笑顔で答える。


「そうだねー、少しは」


「えー!?何?どんな事お願いしたの?」

興奮気味に聞いてくる彼女を両の手で軽く押す。


「当ててみて」

くすりと笑いからかう。


また流れ星が降ってきた。


『いつまでもあなたと綺麗な星空を見れます様に』


単純明快。

綺麗な星空に、素敵な友人。


癒しの空間が毎晩訪れる。


そんな時がいつまでも…


「ねぇ!向こう見て!」


彼女が街の方向を指す。


「え?」


大量の何かが光を放ち街に降り注いでいた。


「なんだろう?」


「すごーい!すごーい!新しい流れ星かな?」

大はしゃぎの彼女、見惚れる私。


何かは分からないけど綺麗だった。


「行ってみる?」


「もちろん!」


手を繋いで私達は丘を下っていく。


好奇心は滾っていた。

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