舎長就任のご挨拶(※砂月一日付情報)
・ごあいさつ
平素より、私ども「蠶文舎」改め「蚕紋舎」をお引き立ていただき、誠にありがとうございます。
本日付で四代目舎長に就任いたしました、桒原絹章です。
曾祖父・祖父・父と受け継がれ、幻想第四次における出版・芸術文化の発展に貢献し続けてきた歴史の絹糸を一切解れさせることのないよう、舎長としての責務を全うする所存です。
何卒、よろしくお願い申し上げます。
・舎名変更の経緯について
この度の舎名変更、ならびに舎長移譲は私の父であり、先代でもある三代目舎長・桒原絹志自らが建議したものでした。
本日、砂月一日は弊社にとってのみならず、わが国においても大きな変革の一日でありました。実に一〇八年という長きに亘り世を治めてきた「霊明」という時代がその役目を終え、新たな元号「紷和」を迎えるという記念すべき日に、吾々もまた、時代に先駆けて変革の決意を為さねばならない。
その思いは私を含め、舎員全員の意向でもありました。
しかしながら、一〇八年間、吾々、そしてお客様方と共にあった舎名に手を加えることは、実に苦渋の決断であったということも申し添えておかねばなりません。
一〇八年の歳月にわたり受け継がれてきた舎の精神を如何なる形で残してゆくべきか。悩みの中にあった吾々は一冊の古びたノートに立ち返ることとなります。
有史以来あらゆる国の文化と共に生きてきた蚕のように、吾々もまた、出版活動を通して人々の豊かな社会・文化の発展に貢献してゆきたい。
蠶文舎という舎名に込められていたのは、言論出版の先駆者として、また、一人の文士として逼塞した時代に立ち向かい続けた絹与史の志でした。
・蚕紋舎という舎名に込めた思い
「蠶文舎創業当時の思いを後世に繋ぎながらも、時代に決して逆らわない、蚕糸で紡がれた絹のように嫋やかな舎名を!」
旧字体の「蠶」を親しみやすく明朗な「蚕」へと直し、創業者である絹与史が貫き通した永劫不変の文学への思いを、美しくも強かな蚕の糸で包み込むというニュアンスから「紋」という漢字へと改め……。
こうして生まれたのが、この「蚕紋舎」という新たな舎名です。とある舎員の提案から、刷新されたコーポレイト・ロゴには、絹与史が留学中に綴ったとされるノートの一節を記しました。
The eternal gulf between being and idea can only be bridged by the silk of imagination.《思念と具現の間にわたる永遠の湾曲は、想像という名の蚕糸によってのみ橋渡される》
蚕紋舎は、再び、始まりの場所に立とうとしています。
いわば吾々は繭を破ったばかりの、大空を翔ける夢を抱いた幼い蚕です。たとえその夢が叶わぬものであると知っていても――いえ、だからこそ、吾々はその夢の力を信じなければならない。
言葉を通して、商品を通して、お客様に夢を贈る。吾々蚕紋舎は、想像力の蚕糸を紡ぎ続ける小さくも逞しい一匹の蚕児として、益々の価値創造を目指して参ります。
今後とも変わらぬご支援とご指導を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
蚕紋舎 第四代舎長
桒原絹章
※ 掲載中のものは紷和元年砂月一日付の情報です。
互換電信柱の不具合により、情報更新が遅れましたことをお詫び申し上げます。
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