第56話 スラベニア帝国の野望

 小説内に登場する地名は全て架空の物です、実在する地名とは一切関係ありません。


 この小説内の地勢図を説明いたします。

 現実の国とは一切関係有りませんが、ヨーロッパ大陸を参考にしてます。


 ホクオー国はスカンジナビア半島全域・デンマーク・ドイツ北部・ポーランド北西部の辺りです。

 ホクオー国の王都クベンヘイブンはデンマークのコペンハーゲンの辺りです。

 エルシッキはフィンランドのヘルシンキの辺りです。


 アストリア国はドイツ南部・ポーランド南部・チェコ・スロバキア・ハンガリー・オーストリアの辺りです。

 アストリア国の王都アンディーヌはウイーンの辺りです。


 バロルト国はバルト三国・ポーランド北東部の辺りです。


 スラベニア国はロシア西北部辺りです。首都はモスクワの辺りです。

 ペテルブルグはサンクトペテルブルグの辺りです。


 ゴートン国はオランダ・ベルギー・フランス北部辺りです。


 フランカ国はフランス南部・スペイン・ポルトガル辺りです。


 ロマネ国はイタリアの辺りです。


 タルーク国はトルコの辺りです。


 ミスルム国はエジプトの辺りです。


 ガルナはガーナの辺りです。


 インファン島はガーナの西の大西洋上です。


 以上全て架空の設定で実際のヨーロッパとは無関係です。



 〇 ▼ 〇



 今回は第3者目線の話と成ります。



 スラベニア帝国皇帝は機嫌が悪かった。


「我が領土は広大であるが、土地は痩せていて民は貧しい。西の国々は小さく、民も少ないのに豊かである。肉も作物も魚も余っている」


「皇帝陛下、どうぞ軍隊を動かし思いを遂げて下さい」

 そう宰相が提案した。


「陛下、どの国を征服しましょうか?」

 将軍が伺う。


「まずはバロルトかホクオーだな」


「両国は軍事同盟を結んでおります。バロルトを攻めればホクオーが、ホクオーを攻めればバロルトが助けに参ります。ここはまず政略を行って、揺さぶりを掛けた方が良いでしょう」

 と、宰相が伝えた。


「ふむ、宰相に良い考えでもあるのか?」


「はい。バロルトは跡継ぎの王子は1人であとは王女ですので、後継問題はありません。一方ホクオーは王子が3人います。第1王子が王太子に成ってますので、第2王子をそそのかして謀反させましょう」



「そんな事をしても、簡単に鎮圧されてしまうのではないのか?」


「そこでバロルトを利用するのです」


「両国は軍事同盟を結んでると言ったではないか?」


「そこを利用するのです」


「ほうほう」



「好餌をチラつかして共謀するのです。我が軍をバロルトとの国境に進め、バロルトにホクオーへの援軍要請を出させるのです。ホクオー軍隊を出陣させてクベンヘイブンの守りを少なくさせてから、第2王子に謀反させるのです。第2王子の義父エルシッキ辺境伯とバロルト軍にも支援させれば、きっと上手く行きます」


「エルシッキ辺境伯とバロルトと共謀出来ると言うのじゃな?」


「お任せ下さい。どうせ約束は保護にしますから、とびきり大きな餌で密約を結びます。エルシッキ辺境伯にノルン地方を与えると言い、バロルトにデルマルク地方を与えると言いましょう。征服が完了するまで、スラベニアが軍を派遣する事を約束するのです。我々は頃合を見計らって、バロルトかスカジ半島を奪ってしまいましょう」


「くくくくくっ、宰相、お主も悪よのぅ」


「皇帝陛下こそ」


「「くくくくくっ」」





 或る日突然スラベニア帝国が、帝都の北西ペテルブルグの街に5万の大軍を集結させた。

 輜重を整えてバロルト国との国境に向けて進軍を始める。

 宣戦布告は一切無かった。



 バロルト国は友好国のホクオー国に援軍を要請した。

 バロルトの外交官がホクオー国の国王に謁見してお願いをする。


「スラベニア帝国5万の兵が国境に迫ってます、どうか援軍を派遣してください」


「良かろう、ディアス将軍に3万の兵を付けて、北から側面攻撃をさせよう」


「ははっ、有難う御座います。それまで堅く守りに専念いたします」



「ディアス将軍、軍船でエルシッキに上陸してスカジ半島東部からペテルブルグに迫るのじゃ。到着したらバロルト国に連絡し、時を合わせて挟撃するのじゃ」


「ははっ、早速出発いたします」


 バロルト国はホクオー国のデルマルク地方の東に隣接してる為、スラベニア帝国がバロルト国を征服すれば、ホクオー国王都クベンヘイブンが直接スラベニア帝国の脅威にさらさされる事になるのだった。



 ディアス将軍はスラベニア近くまで来ると、バロルトに伝令を出した。


「ディアス将軍はホクオー軍3万と共に間も無く到着します、2日後の早朝にスラベニアに侵入すると言っております」


「了解した。将軍に宜しく伝えてくれ」


「ははっ」



 バロルトのマッケン将軍は、伝令が去るのを確認してから言った。


「軍旗半分と雑兵1000人だけを残して西のクベンヘイブンに進軍する。急げ」




 ホクオー国王都第2王子邸で、


「アラン様バロルトから伝令が来ました。騎馬による先遣隊が、明日にもクベンヘイブンに到着すると言う事です」

 王都の東の町に居た密偵が情報をもたらした。


「分かった、引き続き東の町で伝令役を続けてくれ」


「ははっ」



義父様ちちうえ、お聞きの通りです。明日決行と言う事で宜しいでしょうか?」


「うむっ、ディアス将軍と国軍はスラベニア国境に出陣している。そしてボアズ騎士団長はハーマルに滞在しているから、王宮には僅かな近衛兵しか残っておらぬ。皆、東に気が向いてる為、簡単に王宮を落とせるだろう」


「はい」



 翌日、第2王子アランは妻の実家エルシッキ辺境伯の兵と共に王宮に侵入した。国王と第1王子を幽閉してクーデターをあっさりと成功させてしまった。

 城の外ではバロルトの先遣隊500の兵が、王宮の周りに展開して守りを固めていた。



 スカジ半島東部のホクオー国とスラベニア帝国の国境では、スラベニア帝国が5万の大軍を反転させて、ディアス将軍率いるホクオー国軍に対峙していた。


 バロルト国は、更に3万の軍隊をクベンヘイブンに進駐させて、第2王子アランを支援した。


 スラベニア帝国がバロルト国とエルシッキ辺境伯と共謀して、第2王子アランをそそのかした陰謀は、ここまでは成功したのだった。


【後書き】

戦争描写は苦手です。分かりにくいと思いますが我慢してお読み下さい。

お読み下さり有難う御座います。

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