第28話 里帰り
新しい従業員達が仕事を覚えて、研修所運営の
オゥちゃん家の倉庫の魔道術式が、ちゃんと機能するか魔力を流して確認する。
魔道術式全体に魔力が流れていくのを目視で確認出来た。
「うん、まだ大丈夫だね」
「私達2人で入っても十分ですね」
ユキが微笑んでそう言った。
「……やっぱり一緒に行くんだよね?」
「当然です、御両親に挨拶しなければ成りません。お腹に赤ちゃんが居る事も報告します」
「……! わぁぁっ、おめでとぅ、ありがとぉ、ヤッタァァァッ!」
「おめでとだぁぁ」
俺とオゥちゃんはユキの手を取り、回りながら飛び跳ねる。
その日の夕食は、研修所の広間で全員にご馳走を振舞い、ケーキやワインでお祝いをした。
翌日の朝、オゥちゃん
レベルが上がって魔力量が増えてるので、前より楽に魔道術式を発動する事が出来た。
「日本の異世界生活研修所に【異世界転移門】オープン!」
ブゥウウウウウンッ!
俺とユキは、手を繋いで一緒にゲートを
「ただいま~」
「「お帰りなさ~い」」
所長と女性スタッフが出迎えてくれた。
「所長、お土産です」
俺はお弁当箱から魔石と魔石インクを出して所長に渡した。
「研修所が完成し、従業員も雇いました。受け入れ準備は出来ています」
「ありがとう……無事に帰って来てくれて嬉しいよ」
「妻のユキを紹介します」
「ユキです、初めまして、宜しくお願いします」
「こちらこそ宜しくお願いします。異世界の住人…なんですよね?」
「はい、ユキには研修所のスタッフの指導をお願いしてるんです」
「それは、有難う御座います。これからも宜しくお願いします」
挨拶を済ませると応接室に通されてお茶を頂いた。
「早速ですが、異世界の研修所の運営に付いて、所長のご意見を伺っておきたいのですが?」
「そうだね。……冒険者志望の研修生パーティを、期間を区切って異世界に派遣しようと思ってるんだ。
確実に利益が出る様に、前金で費用を徴収するつもりでいる。
現地で稼いでから支払いすると言う者はお断りするつもりなんだ。
研修参加費用は、現場を見て総合的な支出を計算してから決めようと思っているから、今度異世界に帰る時は一緒に連れて行って貰いたい、君達が居ないと簡単に転移出来ないからね」
「分かりました。細かい内容は追々話し合うとしましょう。異世界への帰国は3日後を予定してますけど準備出来ますか?」
「分かった、準備しておくね。安心して新婚旅行を満喫して下さい」
あぁ、早く家に帰りたい!
「私達は取り敢えず実家に帰りますね」
「そうだね、御家族に早く無事な顔を見せてあげると良いよ」
俺はユキを抱き寄せた。
「それでは後日、又会いましょう。失礼します……ユウリ、テレポーテェェションッ!」
アニメ好きな所長を喜ばせようと思って、わざとそう言った。
シュィイイイイインッ!
所長と女性スタッフは消えていく俺達を見て、ポカ~ンと、口を開けていた。
「ただいまぁぁっ」
実家の玄関前に転移した。
めっちゃ両親に怒られたが、ユキに注目が集まると急遽お祝いパーティとなる。
親父は美しすぎる嫁にデレ捲くりで、妊娠中だと聞いて更に家族全員で大喜びしてくれた。
「ユキお姉ちゃん、オメデト~。元気な魔法少女を産んでね~」
「「はぁ……はいはいっ」」
「エリナは学校とか大丈夫だったのぅ?」
「ちょっと無断欠席になったけど~、無事に進級出来たよ~」
「良かったねぇ、進級出来ておめでとう」
「校長先生に魔法でイタズラしてぇ怒られちゃった~、テヘペロ。「学校の中では魔法禁止です」って、言われちゃった~!」
外では良いのかよっ!
「エリナ! お願いだからヤラカサナイでね!」
「は~いっ……それより早く異世界に帰ろうよ~。春休みは短いんだから~」
「今、帰って来たばかりじゃないかぁ。……それよりレベルが上がって、結構簡単に異世界転移が出来る様に成ったんだよ」
「へ~、そうなんだ~。早く行きたいな~、準備はバッチシなんだから~」
「エリナは相変わらずですね」
ユキが微笑んでいた。
「あっ、お姉ちゃんのコスのサイズ直したし、他にもコス作ったから試着してみてね~」
「まぁ、ありがとう」
ユキの頬が赤くなり、テンションが少し上がったのが分かった。
母にダイヤモンドの指輪、父と兄には金のネックレス、妹にはルビーの指輪をプレゼントする。
全て俺が加工した物だ。
「「「「ありがとう」」」」
皆、宝石の大きさに
「困った時は売って、何かの足しにしてね。元手はゼロ円なんだからさ」
ちなみにユキも俺が作ったネックレスを着けている。ダイヤモンドチェーンに3センチほどの
「お兄ちゃん短い期間に色々作ったんだね~」
「テレビも新聞も週刊誌もゲームも無いし、スマホも繋がらないから、時間が沢山あったんだよ」
夕食は結婚の御祝いと言う事で、母がご馳走を沢山作ってくれた。
俺とユキは新婚旅行を兼ねて2日間観光した。
現世の魔素は薄いと言うけれど【魔力回復】【魔力消費減】のパッシブスキルのお陰で、帰る時には既に
俺とユキとエリナの3人は異世界に転移する為に研修所を訪れる。
「エリナ荷物を何も持ってないけど、インベントリーにちゃんと入っているの?」
「沢山入ってるよ~。見たらビックリクリだよ~」
「そうなんだぁ、忘れ物が無いと良いね」
「そう言う、お兄ちゃんは大丈夫なの~?」
「勿論さ、買い過ぎたかなぁと、思ってるぐらいだよ」
「「「お早う御座います」」」
「「お早う御座います」」
俺達3人は所長の沢山の荷物を見て唖然とした。
「所長、凄い荷物の量ですね?」
「そうなんだ、悪いけどインベントリーに入れて貰えないかな?」
「はははっ、良いですよ。全部入れて良いんですね」
「うん、お願いするね」
「それでは、そろそろ行きましょうか?」
3人が手を乗せて魔力を流し込むと、魔道術式が光り始める。
「異世界の研修所に【異世界転移門】オープン!」
ブゥウウウウウンッ!
4人は虹色に光るゲートの中を潜って行った。
悠里が無事に現世に帰り、異世界の研修所も出来上がりました。
めでたしめでたし……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます