牙を持つファンガス

森の中、興味深い存在を見つけた。牙を持つファンガスである。


四肢にあたる部位を地面につけており、繊維が毛羽立つ様は毛皮を思わせ

まるで、狼を彷彿とさせるような風貌だった。


血の味を覚えた真菌は狩りを覚え、肉を咀嚼する事も覚えたようだ。

彼の信徒達の血を取り込んだ森の受胎の印。彼らと森の熱帯夜の忌み子。


ファンガスたちにも淀んだ血潮が流れ始めた証拠である。


竜の炎よりも狼の牙が恐れられるのは知識が怯えに繋がる好例である。

都市ル・イェにおいて炎に炙られた者は犬に噛まれた者よりも少ない。

ましてや竜の正当な後継であるトカゲのブレスを浴びたものは更に少ない。

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