無い

腕が喰われた

脚も喰われた

腹や腰も相手に飲み込まれ

顔や胸も黒い何かに吸い取られてしまった

真っ赤な世界が広がる

夕焼けの空をぐしゃりと潰したような

血の赤が偉ぶる世界

そこに在って

どうして、俺は有るのだろう?

俺の凡ては、既に無くなっているのに


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