第23話「第二のクエスト」
ストレイワ狩りの翌日、再び魔王とアリスはギルドの青紙が貼られた掲示板と睨めっこをしていた。
「これにしましょうか」
アリスが一つの張り紙を手に取る。そこには「薬草採取」の依頼が書き込まれていた。
「薬草か、我には縁のない物だが、勇者が愛用していたとなると興味深い」
そう言って魔王は頷くと受付に紙を持って行った。紙によると依頼した薬屋はギルドとは正反対の場所にあるようだ。
「依頼主は……薬屋か、ここからだと骨が折れるが向かうとしよう」
そう言うとアリスを連れ受付嬢の見送りの言葉を背に薬屋へと向かった。
人ごみをかき分けるように歩くこと数十分、目的の薬屋へと到着する。外装は木材に筆で書かれた看板と老舗を思わせ、魔王にはそれが冒険者たちに長く続いている故の安心感を与えているように思えた。扉を開けて中へと入る。
中は外装と違わず木造建築で老舗を薬草の匂いか懐かしさを思わせる不思議な臭いが漂っていた。
「いらっしゃいませ」
白髪の老人が姿を現す。魔王は彼にギルドで発行された依頼書を突き出す。
「この紙を見てきた」
「これはこれは依頼を引き受けてくださった方でしたか失礼しました」
「それで、この薬草とやらはどこにある」
「普通の冒険者は存じませぬがこの都市を南に行ったところの森の奥にございます」
「どれくらい持ってくればいい」
「この籠いっぱいにお願いします、それとこれは注意事項がかかれたメモです」
老人は答えると籠とメモを差し出す。場所と量は判明したのだが魔王にはもう一つ気になることがあった。
「もう一つ尋ねたいことがある。何故ギルドに依頼を出した、これほど長く続いているような店なら商人とのパイプというのがあるのではないか? 」
魔王はこの点が引っ掛かっていたのだ。老舗ならば冒険者に依頼をするまでもなく独自のパイプでどうにかできるのではないかと。
「へえ、それが商人からは一定の量しか購入していないのですけど、この前占ってもらった結果近いうちに大量の薬草が必要になるデカいことが起こると聞いてこうしてクエストをお願いしたんです」
「なるほど」
魔王は当たるか分からない占いのために契約以上に商人を動かすと高くつくということだろう、と考えて頷いた。
「念のために聞いておくが採取ということはこの娘を連れて行っても危険はないのだな」
突然話題に上がったアリスはキョトンとする。
「ええ、道中モンスターは出現しますが強力なモンスターがいるとは聞いたことはありませんし安全でしょう」
老人は力強く頷いた。
「ならば出発するとしよう」
その言葉を合図に魔王は籠を背負うとアリスとともに店の外へと出て行った。
二人で街を出て南の森へと向かう。辺り一面緑の空を木にぶつからないように歩き突然現れるゴブリンやスライムといったモンスターは向かってくるようなら倒しながら進んでいく。数時間を経て、二人は遂に目的地へとたどり着いた。
森を抜けると辺り一面草が生えている草原が広がり魔王は感嘆の声を漏らす。しかし、所々にガサガサと音がしたかと思うと四本足の凶暴なモンスターが出現した。
「この中で花が咲いているものが薬草でそれ以外は雑草のようです。冒険者の方は間違って変な草を食べたら困るので見分けられる人以外は採取することがないようです」
アリスが依頼主から受け取ったメモを読む上げる横で魔王はつまらなさそうに言う。
「まさか、我がこのような雑用をすることになるとは」
「まあまあ、私も手伝いますから」
アリスは
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