全知全能の知的謙遜

 「おまえすごいな。なんでも知っているって、みんなそんなことを言うのは納得するよ」


 「いやいや、そんなことないって」


 「またまたぁ~、謙遜しなくてもいいよ。おまえだけじゃない、嫁さんもすごいって聞いてるぞ」


 「嫁さんはすごいぞ。俺よりもすごいぞ」


 「ずいぶん、嫁さんを持ち上げるんだな」


 「そりゃあ、そうさ。俺のこと全部分かっているんだぞ」


 「そりゃすごいな。ちなみに、どんなことを分かってるんだ?」


 「今日、話をした女の姿形から何を話していたかまで…」


 「…おまえ、覚えてる?」


 「…俺は、何でも知っている訳じゃないと実感させられるよ」


 「何か違うような気がするぞ」


 「気のせいだ…」

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