実録・歯医者の事件(?)
******
2005年にヨソで書いたものを転載します。
まず、その歯医者に行くことになった経緯を書いてますが、長いので割愛します。
要するに、複数人におすすめされた近所で評判の歯医者だったために、そこに通うことにしたのだが、こんなに立て続けに面白い目に遭うとは。。。
******
(前段略)
というわけで今日は、全部本当の話です(大した話じゃないけど)。
その時は、だいぶ以前に治した歯の詰め物が取れてしまい、全部で4、5回くらい通ったんだったと思います。
その2回目。できてきた新しい型(詰め物?)を歯にはめてみる時のこと。それがなかなか合わず、何度も調整しながら試してるうちに、合わないままにハマってしまった型がビクともせず、取れなくなりました。
先生(女性)は、渾身の力ではずそうと格闘。私のアゴもどうかなるのでは?と心配してると、やっとはずれた型がものすごい勢いで診療室の対角線の隅へ吹っ飛んで、一人前にカラカラと小さな音を立てて転々とし続け、止まりました。えらい派手なパフォーマンスだった。
そして、診療室の反対側まで機械類をかいくぐり、拾いに行く先生。
で。 え? それを、もう一度はめるの?
でも、結局、あきらめた先生は、あやまりながら次回やり直すと。
ふつうなら、もう1回来る回数増えるのでご立腹となるところだけど、今日はお金はいらないとのことで、会社からも近いしパフォーマンスがおもしろかったので、不問に。
たぶん、このくらいのパフォーマンスは、ありがちなことなのだと思います。
次。
その日は、新人の衛生士という女性がいて、先輩衛生士とともに、私につきました。途中、バキューム(?)を何度も使ったんだけど、そのたびに、「今、私、(いかりや)チョースケ状態にされてるのではないか?」と、心配に。どうも、本来吸うべきところじゃないところを吸われてる気がしてならない。
すると、やっぱり、先生がほかの患者のところに行ってしまった時、先輩衛生士がヒソヒソ声で注意・指導。「あなた、患者さんの下唇ばかり吸ってたでしょ」と。
「シタクチビル」。
やっぱり、そうか。 私のチョースケ顔を先輩衛生士はずっと見てたんだわ。恥ずかしい。でも、その図がすごくおかしかったので、不問に。
前回も、この時も、ここを紹介してくれた友だちに報告すると、「私が行った時は何の問題もなく、すごくよかったのに…。へんなとこ紹介してゴメン」と、ひたすらあやまられました。が、私は、「今日は、どんな事件が起こるんだろう?」って、楽しみにするようになってたんで、まったく不問。
その次。
その日も、なぜか私には、新人衛生士がつく。
確か、なんかをずっと噛んでなさいとか、そういう苦行を強いられつつ放置されてる時だったかと思うけど(あいまい)、私の周りでは、新人衛生士が一生懸命マメマメしく立ち働いてました。やたらと、行ったり来たり。
そして、やってくれました。
何かのコードか出っ張りかにつまずいたその人はバランスを崩して、よりによって、ほぼ仰向け状態ゆえに重力の作用で、胸の二つの脂肪がフライパンに流したホットケーキの生地みたいに、うすく平たくそこいらじゅうに広がっているという、その私の胸の大平原に、両手のひらをドシッとついてのしかかってきて、すぐには体勢を立て直せずに、ややしばらく(5秒くらい?)私の大平原に彼女の上半身の体重のすべてをムギュ~っと押し付けて、もがいてました。
重いっていうより、けっこう痛かった。
でも、それ以上に、爆裂におかしいのに口の状態が笑える状態じゃなくて、目と鼻だけで笑うのがつらすぎました。
吹き出しでもしたら、私の口の中の物が吹っ飛んで、さらに激烈におかしいことになるだろうからと必死でこらえるも、ひたすら「すみませんっすみませんっ」とあやまる衛生士の姿が、また、たまらなくおもしろく、「大丈夫ですから(これ以上笑わせずに、早く視界から消えてください)」と言おうとしてる自分の発声が、口が動かせないので「ホゲホゲ」と言葉にならないのも、また、耐えがたくおかしく。
このように無防備な私に、どうしろっていうんでしょーか?
これは、歯医者史上、想像しようと思ってもできない事件でした。だから、不問。今となっては、むしろ、いい思い出をありがとうと言いたい。
最終回。
いくらなんでも、これ以上のことは起こらないだろうと、ちょっとさびしく思っていたら、うちの事務所が入居してるビルに一緒に入居してる会社の人で、あいさつしてもニコリともしないコワモテで愛想なしのオジさんが、待合室にチンマリとすわってました。 あれ? こんなに弱々しくチンマリした人だったっけか?
しかも、オジさんは、私に気づくとうっすらと笑い、「こんにちは。ここに来てるのかぃ?」と。 えっ、自分からあいさつ? しかも、親しげ。
そう、歯医者ってところは、誰もが弱者になるところ。ちっぽけな人間である自分に気づかされてしまうところ。だから、誰もが同志になれるところなのでした。(こういう締めでいいんだろうか?)
※本当の結論
いろいろあったけど、歯の仕上がりがよかったうえに、先生もいい人。
この歯医者はおすすめです。(今現在、あの衛生士嬢がいるかどうかは、残念ながら不明)
付記:
先生がいい人なので、前から気になっていたことを相談しました。
「以前かかった別の歯医者で詰め物をした時に、最後まで型がきちんと合いきらず、結局、噛み合わせを微妙に狂わされたんだけど、どうにかなりませんか?」と。
すると、先生の答えは「あら、私もなのよ」。
歯医者さんに「私も」って言われても困るんだけど、要は、どうせ手遅れだから気にしない方がいいってことらしい。
歯医者をやってても、自分の歯は守れないのね。残念。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます