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 俺の疑問に、タルサが答えてくれる。


「コロナ殿は、自分の仲間達が転生できなかった理由を知りたかったのじゃ。一万もの軍勢を自害させたにも関わらず、その時に転生できたのはコロナ殿だけであった理由。その確率の低さが生まれたのは、この法則が発動したからじゃ」


 コロナは天をあおぐ。


「つまり、私の仲間も、解放されたいと願っていたのですね」


 コロナは薄く息を吐き、続ける。


「私がこの願いを持つように選ばれたのは偶然ぐうぜんでしょうか?」


「それはコロナ殿が誰よりも〝解放〟を強く願ったからじゃ。コロナ殿には、自由を手に入れるには充分すぎるほどの正当性がある。そこにコロナ殿がいるのはお門違かどちがいじゃ」


「そういって頂けると助かります……ところで、私への頼みとはなんですか?」


わらわ達は、コロナ殿の力をお借りしたい」


「〝解放〟の力を?」


「うむ。お主様よ、あのページを開いてくれぬか?」


 俺はタルサに言われ、ノートパソコンを机の上に置いた。


 俺はそのまま画面を開き、最初のページをコロナに見せる。

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