本命まりえ、対抗〇〇

「私にだって!」


 まりえが褒められているのを見て、他の巫女達も対抗意識を燃やす。特にその意識が強いのがアイリスさん。けど、お世辞にも上手とは言えない。小学2年生くらいの字。それより下手なのが優姫。2人とも、何をやっても上手な印象があったけど、揃って毛筆だけは駄目みたい。まことやしいかは書く毎に上手くなっている。


「どうして? まりえにもできるのに!」


 アイリスさんは、いつもはまりえのことを下に見ているのか、毛筆が上手くいかないことに自信をなくしたみたい。


「アイリスさんの字は、味があって良いと思うよ」


 俺は、下手でどうしようもない子供に掛ける声をそのまま使う。アイリスさんは満更でもなく、機嫌を直す。

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