第48話~刻まれたクリスマス 前編~
ジンに確認すると美由紀が13歳の12月25日にジンは美由紀に移ったそうだ。
「クリスマス?13歳の時のクリスマス・・・うーん記憶に無い」
「無いはず、前任者の
「前任者の麻薙?やっと教えてくれた」
美由紀は嬉しそうに言った。
「SASの組織も無い今、違反行為にはならないから」
「じゃーその時とかの事を教えてよ、マブダチでしょ」
「マブタチ・・懐かしい響きだ」
ジンはそう言うと沈黙してしまった。
美由紀は「ジンのケチ」と小さな声で言った。
希望は自分のルナと話をしていた。
「いいのだな、消してしまって」
「いいわ、全てが消えるわけじゃないし、竜機と2人を運ぶのにそれだけで済むのなら」
そう言いながら代償として消える記憶、美由紀と会ってからの短い記憶がそこまで大切な物だったと感じていた。
希望は過去に戻る前に美由紀に言った。
「ママ、転送後に私が少し変わってしまうかもしれないから、先に謝っておくわ」
「変わる?」
「そう、ママって言わなくなるし、私の事も希望さんって・・」
希望はそう言うと魔法を唱え始めた。
希望を中心に光が発生し回りの物を包み込んでいき光は弾けて消えてしまった。
「美由紀さん」そう言われて美由紀は起こされる。
「ここは?」と美由紀が尋ねると「7年前の地球」と初めて会った頃の希望になっていた。
希望は操縦席に座ると自分で書き残したメモを見ながら竜機の操縦を始めた。
必要な都市を幾つか回り情報を得た希望が。
「今はまだ歴史が変わっていないようね」
希望はとある山の火口にステルスモードのまま竜機を着陸させて
「麻薙って人をまず探しましょう」
「じゃーJP-SASに行けば」
そこまで言うと希望が冷たい口調で。
「JP-SASに行けばいるかもしれない、けど私達の事はどうやって説明するの?美由紀さん何があっても見知った人との接触は避けてください、干渉すればする程未来が変わってしまうから、それと確認したい事があるからここからは別行動で」
そう言うと希望は竜機のドアを開け行ってしまった。
親子関係だった昨日とは違いここに着て他人以上友達未満的な会話になってしまって美由紀は寂しい気持ちになった。
一人残された美由紀はまず自分を探す事にした、それは記憶に無い麻薙と会った日だったから。
元住んでいた家は直ぐ見つかり張り込みを開始し両親と過去の自分を確認した。
家族を海外の施設に入れて以来、両親を見た美由紀は会いたい気持ちを抑えていた。
夕方になると小さな美由紀が玄関に現れ「クリスマス会に行って来るから」と出てきた。
美由紀は小さな自分を追跡し始めた。
JP-SAS関東支部司令室。
「麻薙さん、今から行けます?」
オペレーターから通信が入った。
「えぇマジでぇーこれからライブなんだけどさぁ、それ終わってからならいいけど」
「司令から直々なんだけど」
オペレータは小声言った。
「今日3回目だぜ、超過手当てとか無かったらもうやらないから」
そう言うと麻薙は携帯を切りながら「めんどくさ」と言い、メンバーに緊急の用事と言いライブハウスを出た。
大きく背伸びをしてポケットから「超鬼殺し」と書かれたビンを開けて一気に飲み干した。
「いやーきっくぅー・・しっかし、最近多いな・・ジン」
「ここ数日だけで10回は出動してる」
「まったく、ゆっくり酒も飲めねぇーや、それとジンまだ酒抜くなよ」
そう言うと、跳躍しながら幾つかのビルを越えた。
麻薙は言われた地点の埠頭に着き海辺の倉庫で何かを運んでる目標を確認すると、今度は「あたりめ」と書かれた袋を出して中の物を幾つか出して食べながら。
「ビンゴだ、あたりめだけに」
「・・・・」
麻薙は何も言わないジンに笑いながら「ジン、突っ込めよ」と言った。
完全に酔っ払った上司ともう帰りたい部下が出来上がっていた。
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