第24話~覚醒~

薄れ行く意識の中に3つの異なる鼓動があった、それらが徐々に同じ鼓動になり重なった。


美由紀はその後の記憶が無かった。



美由紀は気がつくとそこには白い天井があった、ここはどこ?病院?起き上がろうと意識するが体は反応してくれなかった。


「気がついた?」


美由紀は声が聞こえた方に目を動かすと、隣のベッドに腰をかけた病衣姿ののぞみがいた。


「助けに行ったのにまた助けて貰っちゃったね」


そうのぞみが言ったところで美由紀はネズミーランドの事を思い出した。


雪ちゃんは?と言いたかったが声が出なかった。


それを察したのぞみが


「片山さんなら、集中再生治療室にいて意識は無いけど生きているそうよ」


美由紀はそれを聞いて涙が止まらなかった。


のぞみが涙を拭いながらその時の事を話してくれた。


のぞみが気がついた時にはプロテクタースーツの様な物を美由紀は着ていて魔法と咆哮をあげながら柳と互角に戦っていて柳は諦めて撤収していたそうだ。


その後SASの人達が来て3人を救出してくれた。


ただいつもの美由紀と違っていたのは周りに在る物も破壊し、背中から機械的な触手が何本か生えていた事だそうだ。


詳しい事はジンが知っていると思うから聞いてみて、そしてのぞみは最後に「ありがとう」と言った。


1週間後に美由紀は体が動ける様になったのと同時にジンとの交信が出来る様になった。


ジンによると美由紀が気を失ってから、違う美由紀の意識が現れ魔具とジンを操って柳と戦っていたそうだ。


ジンの過去の記憶で宿主と魔具とルナの意識融合による融合兵器の研究が行われていた事を美由紀に教えてくれた。


ただ実験結果で宿主が魔具に取り込まれそのまま星を滅ぼしたり宿主やルナの精神異常があり研究は中止になっていた。



美由紀が復帰して最初の会議


そこには、新浜、長谷川、荒川、中神、ジェニ、西谷の他にのぞみの姿があった。


美由紀は何で?と思っていたが、会議の始めに新浜が


「一時的ではあるが片山の抜けた穴を法亢希望ほうがのぞみ君に埋めてもらうことになったので、以降よろしくたのむ」


「片山に関しては本人とルナ共に意識不明の状態であり、生存しているが復帰の見込みは無し」


美由紀はその報告を受けてホッとした。


会議の中で敵の橋本がランクAで柳がランクSと付けられ、特に柳に関しては対抗魔法や同時に2つの魔法ダブルキャストなどがあり要注意となっていた。


その後も会議が続き、会議終了後に法亢は改めて美由紀に挨拶をした。



薄暗い部屋の中にダークソードと柳と橋本がいた。


「ダークあんなのが居るなんて聞いていないぞ」


柳は怒鳴り声を上げて言った。


「融合兵器がいるなんて、私も初耳だし橋本は知っていたかい」


冷静な口調でダークソードが言うと橋本が


「ジェイソンの時には特に変化はありませんでしたが」


そう言われたダークソードは薄笑いを浮かべながら


「魔具の方は後回しにして柳は次の行動に移ってくれたまえ」


そう言われた柳は


「了解したが次にあんなのはいないだろうな」


そう言うとドアをバタンと閉めて部屋から出て行った。


ダークソードは柳が部屋を出るのを確認すると


「柳が連れてきた捕虜のSKはどうした」


「ただ今洗脳中でございます、もう時機使えると」


そう橋本が言うとダークソードが


「あまり時間がない、明日までに使える様にしておけ」


橋本は了解と言うとその場から消えていなくなった。



薄暗い部屋の中に新浜がいていつものモニターとの会話。


「覚醒とはどう言う事かね新浜君、事と次第によっては」


「1時的なもので問題ありません、均衡は保たれています」


「それよりWDの方はどうなっている」


「占拠された様ですが、それもシナリオ通りですし問題はありません」


「いずれにしても均衡を保つのが我々の役目だからな新浜君」


そう言うとモニターの画面が消え、いつもの様に長官室に戻る。


「毎回、均衡ってそろそろ聞き飽きたな」


そう新浜が言うと緊急連絡が入ってきた。

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