#平成フレンド
青い絆創膏
第1話 4月28日
「平成の間だけ親友になりませんか #平成フレンド」
4月28日。平成の終わりも目前のこの日、私のSNSのタイムラインにそんな投稿が流れてきた。いいねは2件、RTは0件。反応の悪い投稿だったけれど、やけに私は興味を持った。プロフィールを見ると、なんと私と同じ大学に通う一つ年上の女子大生だった。
「こんにちは。××大学2年の田口です。平成フレンドの投稿見ました。良かったらもっとお話を聞かせていただけませんか」
メッセージを送る手に躊躇いは無かった。面白いと少しでも思ったことにはなんでも首を突っ込む人間であったから。もしかしたら彼女は冗談でそんな投稿をしたのかもしれないけれど、この際それはどうでもいい。元々関わるはずのなかった人だし。メッセージの返信は思いのほか早く来た。
「メッセージありがとうございます!うれしいです。今日ご都合よろしければ、はなひらで会いませんか?」
『はなひら』は大学近くにある昔ながらの喫茶店だ。名物のオムライスは全然ふわとろじゃなくて、おばあちゃんが作ってくれるやつみたいにしっかり卵に火が通っていた。私はその『はなひら』には、あんまり行ったことがなかった。
「はい、ぜひ!16時半ごろでどうですか?」
もしかしたらこれが私と彼女(と、断定はできずもしかしたら禿げ散らかしたおじさんがやって来る可能性も十分にあるのだが)の奇妙な友情の始まりになるかもしれないと思うと、なんだか不思議な高揚感を覚えた。
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