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寒い季節には南へ、暖かくなれば北へ移動します。
しかし そんな生活が長くは続くことはありませんでした。
お金を遣うことはあっても、増えるのは半年に一度の預金の利子がつくくらいです。
最初のうちは、元金が多かっので、一度に 数千万円もの利息が付いていました。
けれども、そんなお金は 島太郎からすると はした金です。
湯水のように遣うその金は 徐々に徐々に減っていきました。
島太郎が 放浪生活を始めて 三年ほど過ぎた頃でしょうか。
たまたま通帳の残高を調べていた島太郎は、愕然としました。
すべての通帳の合計残高が、三億円を切っているのです。
数冊の通帳には 残高すらありません。
三億円といえば一般サラリーマンの生涯収入を はるかに越えています。
普通の生活をしていれば、三億もあり 島太郎の年齢からすると これからの人生は悠々自適のはずです。
しかし、島太郎のような生活をしていれば、やがて破綻することは目に見えています。
『そういえば……』と島太郎は 思い出しました。
つい先日、クレジットカードで支払いをしようとしたところ、このカードは残高不足で、使用できないと言われたのです。
実際に 数冊の通帳の残高は、支払いや引き出しに耐えられない残高に なっていました。
さあ、大変です。
当面は どうにか暮らせますが、将来の生活に陰りが見えはじめてきました。
島太郎は 莫大なお金を無駄遣いしすぎたようです。
しかし、悔やんだところで どうしようもありません。
湯水のように浪費したお金は、もう 戻ってこないのです。
……まずい、まずいな。少し 生活レベルを落とすか……
決意したものの、一度覚えた贅沢ぐせは なかなか治るものではありません。
しばらくすると、元の木阿弥。
そして、また気付く、そんな生活がしばらく続きました。
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