島太郎 人間不信に陥る
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浦 島太郎は、この国のちょうど真ん中あたりにある都市に生まれました。
父親は、いくつもの会社を経営する資産家で土地の名士でした。
一代にして富と名声を手にした父親。ずいぶんと苦労したようですが、威厳ある風貌とは裏腹に やたらと世間体を気にするところがありました。
さて、母親とはいいますと、威厳のある父親とは正反対の気さくな人でした。
彼女の父親、つまり島太郎からみると おじいさんにあたる人が創立した学校の経営を受け継ぎ、熱心な教育家として有名です。
その教育方針は 子どもたちの自主性を重んじ、自由に活動させることでした。
ユニークな方針と同じく、お顔立ちも とってもユニーク。おかめ・ひょっとこの おかめそっくりの優しいお顔で、子どもたちに 大人気。もちろん 島太郎も 大好きな母親でした。
広い広い敷地の中の、大きな大きな お屋敷にある、普通の一軒家より大きなお部屋が、島太郎の個室。
大きなお屋敷には、偏屈なお父さん、優しいお母さん、多くの家政婦さんや執事のじいやさん、そして島太郎専用の高級自動車の運転手が住んでいました。
島太郎の周りは、いつもたくさんの人、人、人。
欲しいものがあれば、いつでも手にできます。
したいことがあれば、いつでもできます。
島太郎は何不自由なく暮らして……いえいえ、そうではありませんでした。
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