第50話 必要悪ってものもあるよね

地下10階

ここをクリアすれば 記憶の魔道具が作動出来る。、


ここまで到達したパーティは、上位能力者ばかりになる。


父さんはこの階に到達したとたんに、例の煙の魔道具を使った。


金太郎

「ここの魔物は、ある意味、この迷宮の最大の難関でもあるんだ、

まあ、掟破りだけど、使える物は使う。似たようなものは再現できるしね」


いつも父さんは召喚魔道具をあまり使いたがらない、俺が死んだときの影響力を極力残さない為だ!

というが、再現の見通しができれば、ガンガン召喚魔道具を使っている。


既にグラス研究所では、殺虫薬を開発中で、それを風の魔石により、噴霧する魔道具が、市販されている。

この世界で虫は、闇の属性を持ち、人間が、魔物が出ないように清めた大地を再び、魔力の帯びた大地へと変えてしまう。

いわば、虫も魔物なのである。


この世界の三大害虫

コクローチ

モスキーニ

ダニン


コクローチは親指くらいの虫で、動きが速い、夜になると活発に動き、備蓄食料を食い荒らす。


モスキーニは夏になると、水から発生する、血を吸い生き物の魔力を吸い上げる、魔力を吸われたものは

痒くなり、睡眠不足に陥る


ダニンはいつの間にかに血を吸っている、病気を人間にもたらす恐ろしい虫だ小さな蜘蛛のような見た目だ。


他に作物を食べる虫、家の木材を食べる虫など様々な害虫がいる。

父さんは自然界ではその虫たちも、役割がある大事な存在という、父さんは、よくいうが

魔樹の森こそが本来の姿で、そこを切り開く我々が星から見たら害虫なのかもしれないと・・

とはいえ、この島は火山があり、自然に任せれば直ぐに、魔樹に侵されてしまう。

だから、生きるためには、この侵略行為をやめることは出来ない、と父さんは言っている。


それに、虫の中には役に立つ虫も多い、蜘蛛や蜂は害虫を食べる。

だから農家はその虫たちを保護する。

中には、強い魔物となり人間を襲うこともあるが、基本はおとなしい、つまり共生は出来るということだ。


しかしこの地下10階のキラーホーネットたちは、無差別に人を襲う魔物だ。

毒をもち、毒をかけられると、肌がただれる。目に入れば目が見えなくなるほどの毒である。

実際、この地下10階で多くの有力パーティがボスを見るまでもなく全滅させられている。


物理攻撃でキラーホーネットを殺すことはできるが、数が多い為にあまり意味がない。

だから、魔法攻撃が主体になるが、何分突進力があり、自らを犠牲にして後衛の虫に道を作る

恐ろしい統率力を持つ。


火の魔法で一遍に焼き殺しても、その後ろから沢山のキラーホーネットが襲い掛かる。

火の攻撃を多用すれば、空気に毒がたまり、挑戦者は力尽きる。


蟻と違い飛んでいるので、壁を虫ごと凍らせることも難しい。


対処は闇の魔法で仮死状態にさせるのがいいらしいが、数が多いので魔力を多く使いすぎる

やはり、魔道具による攻略が一番無難である。


父さんは、煙の魔道具から発生した煙を巧みに操り、進行方向に煙の空間を絶えず作っている。

キラーホーネットたちは次々と力尽き、地面に落ちる。

一匹たりとも僕たちの元に来ることはなかった。


*「また来たか・・・煙使い・・・うぬぬ・・卑怯なり」


地下10階のボス、キラーホーネットクイーンが現れた。

どうやら、魔道具攻略で何度か倒されていて、恨み節の言葉を発している。


やはり人型で下腹部は蟻の女王と同じように大きい、人ぐらいの大きな兵隊蜂(ビックホーネット)が女王を守っている。


金太郎

「悪いな・・・この方法を広めたのは俺だ・・」


*「貴様か!・・・・かわいい娘たちよ、あの男を、葬り去れ!」


兵隊バチが、一斉に父さんに襲い掛かる。


先頭の蜂が煙を吸い、そして倒れる、後衛の蜂がさらに先を行く。


父さんは煙の魔道具を置き、剣を取る。

煙の魔道具はすでに煙が止まっている。

一匹、また一匹と父さんはビックホーネットを切り捨てる。

ここまで大きい蜂だと逆に戦いやすそうだ。

父さんは徐々にキラーホーネットクイーンに近づき、そしてクイーンに止めをさした。


「ゲッホ!ゲホ」


まだ煙の成分が残っていたようだ・・・

父さんは風の魔法を駆使して煙の成分を一か所に集め、火の魔法で高温で焼いた。


金太郎

「ふぃー、いっちょ上がりだ」


クイーンのドロップはまた能力の種だった。

父さんはソレを僕に投げた


「早く食べろ!」


僕は言われるままに、その種をかみ砕いた、甘い・・・美味しい


「甘いくて、美味しい・・・」


金太郎

「魔力の種か・・酸っぱさはあるか?」


「ない・・・ただ甘い・・」


金太郎

「となると、風か土か、苦みもないなら風だな・・」


僕の風の魔力が上がったらしい

試しに風を起こす・・・・少し、強くなったかな・・・あまりわからない


金太郎

「ははは、まあ実感するほど上がることはないよ・・ただ、地下10階以降いは能力の種のドロップが

多くなる、いくつも種を食べるうちに気が付けば上がっている、って感じになる」


僕たちはさらに階段を下りた、地下11階の入り口には集会所がある

ここから先は単独階層なので、パーティが全滅、もしくは、引き返したときに、次のパーティが先を行く

感じになる


既に今日の地下11階12階は攻略済みで、もぬけの空だそうだ。


*「ありゃ?金さん、こんな所でお遊びか?」


金太郎

「いや、息子達の指南役でな、まあこれだけの人数だが黒字になったから今日はここで帰るよ」


*「そうかい、金さんの指南はありがてえからな・・また野良パーティに参加させてくれよ」


僕たちは集会所の記憶で、記憶の魔道具に記憶を覚えさせた。

つぎこの魔道具を持って、迷宮に入れば、この集会所に来れることになる。


でも、まだまだ父さん達がいなければ来れないだろう・・・・記憶の魔道具を使うのはまだ先になりそうだ。


僕たちだけでこの地下10階まで来れるようになるまで、特訓しよう・・・

それがこれからの課題だ・・・・やる気が出てきた。



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