第33話 蛇女は大胆だよね

今日の母さんは張り切っている。


しかし母さんは反則だと思う、いつまでも若い・・・・すでに母さんと呼ぶのに抵抗がある状態だ。

守護者の伴侶は歳をとらない、それは母さんみたいな美人にはすさまじい力だと思う・・・

鈍感な父さんがお落ちたのも頷けるな、うんうん


休日の僕は、父さんが召喚した道具を分解するのが日課だ。僕が物心ついたときから行っている

カメラ、時計、ビデオとあらゆるものを分解した。誕生プレゼントにドライバーを貰って喜んでいたようだ


家のテレビを分解して組み立てれなくなった、時は父さんよりシンシアと母さんに怒られたなあ。


シンシア

「ジェニファー!今日は負けられないんだから、一杯おめかしして頂戴!お化粧もね!」


ジェニファー

「はいはい、ああ!かわいい!」


母さんがジェニファーを改造している・・・・


ジーフ

「いけませんジェニファー、ここはこうです!こうラインを入れるとほらね。」


ジーフものりのりである


ジェニファー

「ところでシンシア?誰のためにおめかしするの?」


シンシア

「え!それは・・・内緒よ・・・」


シンシアがこっちを見る


その時父さんが

「お~い!シュンタ、ちょっと来てくれ、梯子持ってくれるか?」


父さんが僕を呼んできた


「うん今行く」


ジェニファーとジーフの、シンシア改造が進んでいるようだ


父さんは、太陽光パネルの増設をしていた。

ある程度蓄電の再現が出来てきたって事らしい

+イオンやら-イオンやら、電解質やらと、どの教科書にも載っていない電気学。


講師もいなく、研究所から講師が派遣される時だけ授業が行われる学問だ。 

それに大きくかかわっているのが父さんだ・・


僕も早く父さんのようになりたい、いろんな新しいものを作れる人間に。


「いいかシュンタ、電流には直流と交流があるんだ・・こうやって直接生まれる電気が直流電流だ。

しかしな、直流電流は電圧が一定になりにくい、これを家電につなげれば・・・ボン!・・だ。だから電圧を調整するために蓄電させて、パワーコンディショナーで交流に変えてやらないといけない・・交流というのはだな・・・プラスとマイナスが・・・・」



父さんの話は、やはりまだ僕には難しい、少しずつ理解をしているがまだ先の話なんだろう。

父さんの話だと、電気を産むことは難しくないが、それを貯めておくのが難しいという。


また一定的に電気を産む装置を再現するには、大きな工事が必要なんで今は蓄電池電気が主流になっちゃうんだよなという。


ただ、グラス川の上流に何やら父さんと研究所の人たちで施設を作ってる道だ。グラス山は魔物が強いので、父さんがいない時に、施設や職員を守る兵隊さんも用意している状態らしい。

新しい事業が動いている・・学校の上級生も何人か手伝っていると聞いている、僕も混ざりたい。


シンシア

「シュンタお待たせ、早くいこう!」


ジェニファー

「シンシア頑張ってね!」


ジーフ

「私が闇のまじないをかけるから。絶対に聴くはずよ、頑張って!」


今日のシンシアはなんか大人びていた・・・少しびっくりした・・・きっとジーフの魔力のせいだろう・・・

そう思っておこう


待ち合わせには既にユキナリが待っていた


ユキナリはいつもこういうのは一番早い、学校で同い年の仲間が少ないのでよくつるむのは僕らと・・・・あれ


ユキナリ影から蛇が見える・・・ユキナリは動かないのではなく動けないのか・・・恐ろしき鬼人の分際で蛇が怖いのか?

ってミュイミュイじゃん・・・メデューサのミュイミュイ・・ゴルゴンの生徒だ・・・


ミュイミュイ

「面白い事に私を除けものにするとはなんだ?シュンタよ 石にしちまうぞ」


「いや石にはなりたくないです、なあ ユキナリ・・」


ユキナリはこくんと頷く、ユキナリは鬼人だ、蛇ごときでは怖がらないでも・・・基本女に弱い


とくにミュイミュイは頭が蛇じゃなかったら美人だろう・・・・神学だとメデューサは美しすぎてアテナの神殿でポセイドンと行為をして

アテナが怒って地上につかわされた存在、神学通り美しい・・・頭が蛇だけど・・・


鬼人は女が生まれにくい種族で、男10に対して女は1の割合らしい しかも鬼人の女は、ほとんどが男勝りでおっかないとユキナリから聴いている。


ユキナリは男同士だと結構しゃべるのだ・・しかし、女が混ざると・・・頷くしかしない堅物な奴だ、そういえば炭鉱のハムラさんもリリーさんに弱いな・・・鬼人はそういう種族なんだろう。


ミュイミュイもメデューサだけあって・・なんだか女を武器にしている。それが天然の動きでそれをやりこなしている、実際は結構面白い子で話しやすい。

しかし・・・起こるとめっちゃ怖い・・・


「私が怖いって?エキドナ叔母さんに比べたら私なんて、お子様だよ」


そして相手の心の声を読む・・いやな能力だ


神学だとエキドナは原初の悪魔神テュポーンの伴侶で多くの魔物の母・・湿地ののヒュドラや火を吐くキメラといったゴルゴンの巨大戦力の生みの母だ・・


「なぜこんなところに蛇女がいますの?」


イロハ登場だ・・・


ミュイミュイ

「なにを~!すまし居乳が偉そうに・・俺をのけものにしようたってそうはさせないよ!」


カエデ

「まあまあ落ち着いて、どうせならみんなで楽しみましょう・・」


イロハ

「カエデも甘っちょろくなりましたね、オワリでは夜霧の申し子と呼ばれた忍びの腕を持っているのに」


カエデ

「イロハ様それは、お恥ずかしゅうございますので・・その辺で」


カエデさんはスレンダーだ、お父さんと同じ髪の色をしている。いつもイロハの影にいる人でイロハを守っている人物だ。

この人もノブナガ様の娘とか言ってたな、そういえば、つまり二人は兄弟か、でも二人には絶対的な主従関係がある。


それがオワリの掟、何だろう。 ユキナリは母がノブナガの娘で父が鬼人のハーフらしい、鬼人のハーフは鬼の血が濃いので鬼人の特徴を持って生まれてくる子が多いらしい。


つまりユキナリはイロハとカエデの甥ということか・・・長生きする守護者の人間関係は複雑だな・・・・


イロハ

「それにしても、馬子にも衣装とはこういうことですわねシンシアさん」


シンシア

「あら、おほめに預かり・・おほほですわよ、おほほ」


シンシアの口調がなんかおかしい・・・


カエデ

「ほんと、今日のシンシアはきれいね、なんか大人びている」


シンシア

「ほんと~!あ、ありがとうございますは、おほほ」


イロハ

「あら私も負けていませんわよ!カエデ!」


カエデ

「はい、イロハさまが一番ですよ」


ユキナリもコクリと頷く


イロハ

「よろしくてよ」


確かにオワリのお姫様だけあって、イロハはどこか優雅だ、シンシアと口げんかしてるとき以外は・・・

成績も優秀で、闇の魔法学では常に最前列で授業している。


ほかに農業学なんかは、臭い堆肥の処理なんかも、お姫様だからといって甘えずに真面目に実習をしている。

厳しく育てられている印象だ、ただ本当に心を許しているのはこのカエデとユキナリだろうか・・・

もう二人オワリからの留学生はいるが、さほど遊んではいないようだ。


さて、グラスビーチにも近い服屋さんの一角にある水着ショップ・・・・男は大変居ずらい。 

俺とユキナリは浮きまくっている・・・・


「あらシュンちゃんにシンシアもいらっしゃい、学校の子か?」


ショップの女性はミルミさんノームの女性だ、ノームの女性は服飾関係を作るのがうまいので服屋を多くやっている。


しかし見た目は小学生だ・・・・見た目は小学生だがミルミさんは80歳を超えている、俺が生まれた時から、グラスの服屋である。


「最近は新素材が増えたからね・・これなんかはベロニカのシルクだよ、これはヴェネチアン産のドレス、あそこの国はドレスを作るのがうまいね~」


イロハ

「本日は水着を買いに来ましたの」


「まあ、かわいらしいお嬢さんだ事。シュンちゃんも隅に置けないね」


ミルミさんは子供の顔立ちで叔母さん口調なんで少しギャップがある・・・声も子供ぽいし


「水着もたくさんそろえているよ、グラス産の水着は世界一さ」


多種族の島なので、ノームサイズ、人間サイズきちんと揃っている


「これはエルフに人気だけどねえ、まだ子供の人間にはちょっと派手すぎるかねえ」


ミルミさんが一着出してきた。確かに色々すごい・・


イロハ

「ビ!ビキニですわ!」


ミルミ

「最近の若い子は、みんなビキニだね~、まああんたほどの体なら似合うかしらね」


いくつかの種類のビキニを持ってくるミルミさん


いや俺はいらないんじゃないかな?


「あ~俺たちはいないほうがいいんじゃないかな、なあ・・ユキナリ」


ユキナリも赤い顔をしながらうなずく


イロハ

「そ!それでは、私のたくらみが・・」


カエデ

「まあまあイロハ様、ビーチでのお楽しみにしましょう。私も男性の前で着替えるのはお恥ずかしいし」


イロハ

「来週海開きだ・・勝負ですよシンシア!」


シンシア

「の、望むところです・・・・わよ」


何を勝負するのだろうか


ミュイミュイ

「これなんかスゲ~な着てみていいか?」


ミュイミュイは遠慮なくどきつい水着を試着室に持っていく


イロハ

「う!そんな」


ミュイミュイ

「じゃじゃ~ん、どうだ似合うか?」


ミュイミュイは水着のままに俺に近づいてきた・・何度この水着、蛇柄の水着って・・・


「これはブラッドスネークの皮をいなしてね、裏地にハバの生地を張ってるのさ、ちょっと派手だからなかなか売れなくてね、買ってくれると助かるよ」


ミュイミュイ

「これの良さが分からぬなんて、グラスは変わっているなあ。ゴルゴンなら飛ぶように売れるぞ」


「あら本当かい? ブラッドスネークの皮は多く手に入るからね・・水着にできるならばん万歳だよ・・で次はいつゴルゴンの船はくるんだい?」


さすがノームだ、商機は逃さない


しかし、ミュイミュイその切れ込みは・・・目のやり場に困るよ・・・・・


さすがのイロハもシンシアも顔を赤くしてしまった


「じゃあ・・・みんなは水着でも選んでよ、俺とユキナリで道具屋さん見てくるから」


シンシア

「あ!私も行く、水着はこんどジェニファーと買いにくるよ」


イロハ

「私も今度カエデときます・・ミュイミュイとはちょっと・・・」


カエデ

「はは・・私もおとなしめのでお願いしたいです」


イロハ

「それはなりません!あなたもビキニです。ビキニ文化をオワリに持ち帰るのです」


カエデ

「う~どうしてもですか?」


イロハ

「どうしてもです」


ミュイミュイ

「おいおい、置いていくなよ着替えるから待ってくれよ~」


イロハ

「痴女の知り合いはいません!」


ミュイミュイ

「なんだと~、この乳女が」


イロハ

「ふん!」


ミュイミュイ

「フン!」


シンシア

「なんか思ってた展開じゃないなあ」


シンシアは何を企んでたんだろう


今日もグラスは平和だ!




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