[日記]忘れ物はありませんか?

 意識というのは、記憶というのは自身の思っているほど強固なものではない。あっさりと気絶することもあれば、忘れることもあるし、嘘もつく。

 なんでそうなのかなぁ、と考えたのは、はたと気がついたからである。


 あれ、帽子忘れた?

 さぁこれを持って帰れば買い出しの終了だ。そう袋に詰め込んでいたときのこと、帽子がないことに気がついた。

 食事をして、買い物して。あとは帰るだけ、というときに、だ。

 もちろんそんな行程であるから、どこに忘れたのかなど明確なことで、食事をしたところだろう。ならば取りに行けばよいのだが、そこでひとつ問題が出てくる。

 そもそも、帽子を被っていたか? と。

 今日は不思議と、被っていたかの記憶がとんとなかったのである。たったの一時間前くらいの記憶であるのに、被っていただろうか、と首をかしげた。

 結局、忘れ物をしました、などと申告することなく帰宅することにした。すぐに来れる場所だから、本当に忘れていたなら取りに来ればいいのだから。

 ところがどうたろう。帰宅するとそこには、いつものように帽子がかかっているのだ。

 ……記憶の嘘つき。

 たしかに被っていた記憶もないが、ないということに対してなぞの不安を覚えるのはいかがなものだろうか?

 それくらい覚えておけよ、というのが正直なところである。なんで忘れるねん、と。

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