[短編(七日)]第950話 正月三ヶ日
日かさみ、十二を数えて、年繰るや。
しんと静まり返っていた一室にて、一句。季語も何もない、ただの詩を詠んだのは他でもない、この家に憑く神である。
それは大型の猛禽の姿をしており、今は床暖房に溶けている。寒さが厳しく、かつ誰もいない空間で、唯一許された、文字通り温床である。
初詣とあいさつ回りで、帰りは明日の遅くになるという一報を受け、取り残された彼女はのんびりと過ごしているが、いくらなんでも暇だと一句思い付いた次第であった。
そもそもこの血筋の者は、一人につき、神の一柱と関係をもつ。産まれたその日に、一方的に契りが交わされ、裏の家業に勤しむのが習わしである。
で、その柱たちは、それはもう自分勝手なものだ。好みの子のもとに舞い降りては、占有するという所業を大昔から繰り返しており、この猛禽もそのうちの一人だ。
だがそんな彼らも、人と関わる以上、彼らに倣うこともある。その一つが留守番であった。
一家全員が、ほぼまる一日以上空けるときは、柱の誰かが、無人の無音の空間に取り残される。無論、彼らのおかげで盗人が侵入に成功した試しはない。
そう、彼女が今回の当番で、堕落しきっている。
猛禽といえば、凛々しくもたくましい姿を思い浮かべるだろう。神ともなれば後光のひとつでもさしていそうで、神通力を見せつけてやろうを脅しをかける様が思い浮かぶが、そんな気配は一切ない。
弛緩し、熱を受けとるために腹這いとなり、うとうとと目蓋は閉じかけている。
新春と、春とは呼べど、身も凍る
再び、一句。それを最後に、小さなイビキが部屋にこだますようになる。
◆◆◆◆
寒いですね。正月も二日目、そろそろ身を引き締めないと明けに痛い目を見るところです。
ということで日向の一家のお話でした。このくらいのノリがいいですよね、こういうのは。
さて、年末年始、掃除やら作業やらを進めていましたが、成果の区切りがついている、という意味では大変順調です。
年始イラスト一枚、ゲーム素材絵を二つ、素材背景三つを用意できました。ゲーム本体のあれこれはあまりできていませんが、コンテンツの拡充が必要な状態なので、素材が増えればそれだけデバッグもしやすくなると思いながら、そちらを進めました。
今日は仕事はじめの準備をして、コンテンツの拡充を進めようかなー、と思っているところです。
昨日今日と、皆さんは順調でしょうか? 体調も、欲望も。
では、昨日残し忘れた一言を。
今年もよい一年となりますように。
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