[短編(魔女)]昼の帳を見上げて

 いつ降りだすやら分からない。そんな、暗く、分厚い雲が空を覆い隠す中、室内の真ん中にて、右手で頬杖をつきながら、左で指折り数える女性の姿がある。

 ねぇ、と声をかけるも、そこには柔らかいクッションの上で、笑っているように寝ている大型犬がいる。

「お盆から晴れの日って、何日あったっけ」

 グゥ、というイビキをかく獣の顔をむすっと睨み付けて、八を数えた指を下ろした。

「まぁ? 台風とかそういうのがきてるから? 秋雨だと思ってのんびりすればいいんだろうけど」

 それでも気が滅入るのよね、と続けた女性は何をするでもなく、振り返ってその空模様を、戦意もなく睨む。

 降るか、降らないか。人々は昔から、戦っていた。

 食料である作物収穫できるまでが育つか否か。それは季節のきまぐれというものを凌ぐために、大切なことで、雨が少なく、川の水もないとなると、残り少ない供物を神へと捧げて雨乞いをした。

 やがて身分なんてものができれば、雨粒に芸術を見いだしたりする。しかし作物との戦いは続いていた。

 今となれば、傘一本を持つか否かだけの、昔から見ればたいそれた問題ではないように思えるが、今の生活しか知らないのだから、とやかく言うのはナンセンス。

 傘一本、されど一本の荷物。雨が降れば使える足も限られるし、足も濡れる。降らなければかさばる荷物だし、急に降りだせば使っていた足が荷物になる可能性がある。

 勝ちのない、分の悪い賭けに、彼女は挑もうとはしなかった。勝っても得はなし、負ければ濡れる。なら挑まない方が得策なのだ。

 布団干したいなぁ、と呟くと、ようやく彼女は立ち上がり、台所へと歩く。するとぱちくりと犬が目を覚まし、

「今日は何にするんだ?」

 と見た目に反し低い声で目を輝かせた。

「……クッキーでいい?」

 昨日もだったろうが、と威嚇する彼にとった、女性の行動は、

「なら、コンビニスイーツでも買ってきたらいいでしょうが」

 と一喝するだけだった。


◆◆◆◆


 雨から曇りの日が多いですね。お盆から早くも一月ですが、曇りや雨がほとんどなんて。

 秋といえば秋晴れなんていう言葉もあるというのに、それらしい日も少なく、食欲も減衰してしまいますね。

 かくいう私は、この二週間、働くばかりだったので、思い切り掃除して、今に至ります。雨を警戒して買い物は明日に回し、これから作業でも開始しようか、なんていうところです。

 台風が雲を払ってくれればなぁ、と思いながら、今日も進んでいきましょう。

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