[鑑賞論?]UNKNOWN WORLD
ふと手に取る。あるいは、ふとタップする、でもかまわない。
あなたはどうしてそれに手を伸ばしたのだろうか?
過去に読んだことがあり思い出に耽ろうとしたのか、好奇心をくすぐられるタイトルだったのか、はたまた、読むだけで射幸心を満たしてくれると期待しているのか。
私は、もっぱら前の二つだ。異種族バディもの、異種族交友ものだったり、人あらざるものの宛もないワンシーンだったり、どこかで、人あらざるものに憧れている、ということは今も変わらない。
たまに本屋にて、お、となるタイトルを見つけたら、あらすじを見てからどうしようかをまず決める。ホラーものは、ホラー要因が人間でなければそれでいい。Ghost3D並みのちんけな霊でも、わたしはそれでかまわない。
彼らが何を思って、何をするのか。共にいることが一般的なのか、それとも異端なのか。そういったシチュエーションを、食い入るように楽しみたい。
それは、その作品の未知の世界があって、手に取るからこそ得られる出会いの時間である。
ところで、最近よく言われるようになっているのは、判を押したかのような物語が溢れている、ということ。
別にファンタジーに限ったものでもないし、誰もが自尊心を保てれば書いていける、作り続けられる時代なのだから、溢れて当然といえぱ、その通りだ。
ここで気になったのが、その紋切り型の物語に、あなたは未知という魅力を見いだせているだろうか?
お約束、もといテンプレに沿ってああなって、こうなって。テンプレそのものが悪い、というわけではないが、おおそうきたか、という高鳴る振れ幅を耳にしたことがあるだろうか?
文字というものは、白と黒のたった二色で描かれた、貧しいながらも無制限な舞台なのだ。そこにひたすら同じものを並べても、もう見たと言わんばかりに観客席に座るあなたは騒ぐべきではないだろうか?
もちろん、そこに座ってしまったから、開いてしまったからあなたは読んでいるのだ。だが主演と台本が少し違うだけの劇に、あなたは居眠りせずにいられないことだろう。
未知の世界に、未知の誰かに、誰かの描いた世界に踏み込むことくらい、誰にでもできるはずだが、どうしてそうしないのか。少しお高い劇場に足を運んでみるのも、たまの贅沢にはちょうどいいのではないだろうか?
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