[短編(ネタ)]カラーリングマシマシ

 ぴくりとも動かなくなった魔物の亡骸を見つめた一行は、緊張を解いた。

「いやー、助かったな。弱点があれと同じで」

 リーダーらしい者が武器を納め、振り返る。

「見た目が似てるだけで、弱点が全く同じとは限らないからねぇ。水魔法の効きがいまいちだったから、電魔法も同じかと思ったけど」

 魔法使いらしい子供がてこてこと歩きだし、じっと魔物を眺め始めた。

「にしても、見た目がそっくりなやつばっか。そのくせ得意なことも違うとか、魔物の癖に、器用なもんだ」

 うんうんと頷く大男に、あんたは役に立たなかったろ、ともう一人の女性は睨み付けた。

「図体でかいくせに、あの子に頼りぱなしで、恥ずかしくないのかい?」

 あはは、と談笑を始めた彼らはその日、ここでキャンプをすることを選択した。


 一方その頃、

「主ぃー、侵略は思うようにいかんです」

 魔物を世界に解き放つために、せっせと魔力を練っている者がいた。

「そりゃ、抵抗するやつも多いです。弱点のない魔物とか作ればいいんじゃねぇです?」

 玉座に座る主を前に、小人が身振り手振りでアピールをしている。

「それができれば苦労はない。全てに耐性をつけると、体が脆くなる。かといって、弱点をつければ丈夫か、と言われれば、そうでもないのだ」

 ため息が広い室内にこだまする。

「だから、弱点をカバーするような装備品をつけて、外に出してやれ、と命令しているのだ。」

 やってますよー、と小人は両手を振る。

「同じボディでもバリエーションを用意すれば、やつらは先入観により耐性のある魔法をしかける。そうすることで生き残りが増えて、侵略できる……はずなんだがなぁ」

 禍々しい玉座に反し、なんとも言えない曇り顔。

「やはり物量で攻めた方がよいのだろうか。いや、そうしたら我が魔力がつきる」

 悶々とする姿に、小人は仕事に戻ります、とこの場をあとにするのだった。


◆◆◆◆


 ゲームにてカラーリング違いの敵っていますよね。なんで色が違うのでしょう?

 そりゃ開発コストの削減なんですけれど、あまりこれってネタにされませんよね。強いて言うなら、クラスアップだとか、レッドドラゴンだとか、そういった要素くらいです。探せばネタにしているものはあるんでしょうか?


 でも開発コスト削減って重要ですよー。ゲーム開発で一から敵を作ってたらもう工程は無限大。モーションは流用して色だけを変更してモブ敵を増やす。コードも流用して、パラメーターでレベリングするくらいしないと……。

 いずれやらないといけないんだろうなぁ、と思いながら、いそいそと開発にいそしみます。

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