[短編(オリ)]Pワールド/S
最低限の明かりだけの灯る細い通路を、トットットッと足音小さく駆け抜けるのは二つの人影。
時折、先んじていた者が立ち止まり、死角の様子をうかがう。だが後ろにいる、いかにも動きづらそうな服装の者は、そっちは誰もいないね、と見えていないにも関わらず助言する。
立つ瀬がねぇなぁ、と呟く青年は素早く躍り出で、また駆け抜ける。後ろの彼女も続く。
やがて、二人は広い部屋に出た。
「どうにも、変な感じだね。なんでこんなにも出くわさないんだ」
狐の頭を持つ獣人が深く眉を寄せる。
「罠かもしれないけど、こっちでいいんだよな?」
対する人間の彼の問いかけは、止まれ、という彼女の命令によってかきけされた。同時に、空を裂く音が数回、鳴る。
遅れて人工物の床に短い刃物が突き刺さる。事が終わってから飛び退いた男は、誰だ、とナイフの飛んできたであろう方法へ顔を向ける。
次の閃光が飛来していることを認め、二人は散開するように地面を蹴った。
初めの数本が闇に吸い込まれ、次の一撃が男に向かって放たれる。男がそれを認め、それらのうちの一本を目視でつかみとると、思い切り引っ張った。
白く輝くワイヤーが一瞬だけビンと張り、続けて緩む。
「機人のくせに、やるじゃないか!」
同時に彼に向けて飛来する二つの丸い光と、影。
アクロ、と叫ぶ獣人。青年に肉薄するその姿は、明細服に身を包んだ、赤い羽毛に身を包む鳥の獣人だ。
「舐めんじゃねぇ!」
振り下ろされるナイフの軌跡を前腕で妨げたアクロ。氷を思わせる視線に動揺が灯る。一瞬後、鳥の獣人が身体をくの字に曲げて地面に転がった。
「ッケホ……そっちの獣人は、例の裏切り者だね」
狐がどこからか取り出した銃を敵に向けるが、なおも鳥は口を開く。
「わたしはベニリア。あんたらを捕獲する!」
特徴的な脚でゆらりと立ち上がった彼女は、ナイフを取り出した。
◆◆◆◆
シール君たちのアクションゲーが、なんかファンタジー感がなくなりそうな予感!!
さて、市場にて登場した獣、ベニリア。荒んだ世界に産まれてしまった彼女はどんな性格なのか……荒んでそうですね。
あー、ゲームも作りたい。時間が無限に足りないぜ!
それはそれとして、本編ではモブ一歩手前のキャラが、パラレルではメインキャラとなる展開、いいですよね。決して当人ではないものの、当人とどこか同じものを抱えて生きる……悲しいような、幸せなような。
さぁ、さっさと今のゲームを仕上げてしまいましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます