第2話
今日もいつもの夜散歩。まったり歩きます。ああ、夜って楽しい。
「おっ、久しぶりに会ったね!」
「あっ! お久しぶりです!」
今声をかけてきたのは通称爽やかお兄さん。いかにも爽やかそうな人で、たまに夜にランニングしているらしい。いかにも朝にランニングしていそうなのに。ただ、理由を尋ねるなんて野暮なことはしない。私が夜に散歩しているだけのように爽やかお兄さんも夜にランニングをしているだけだ。
「よく考えたら僕が最近夜にランニングしてなかったから会えなかっただけか。」
「最近ランニングしてなかったの? たまたま会わないだけかと思った。」
「夜にランニングするのはストレス発散が主な理由だからね。あまりストレスが溜まっていない時はしないよ。」
先ほどあんなことを言ったけど、案外簡単に理由わかっちゃいました。でも、なるほど、なるほど。ストレス発散ね。
「じゃあ今はストレスが溜まっているってことだね。どんなストレス?」
「ハハハッ、そんなに大したことではないよ。ちょっと彼女とケンカしただけさ。」
「お兄さんに彼女いるって今初めて知った!」
「もしかして妬いた?」
「うん、妬いた。」
そんな冗談を言い合って互いに笑った。
「それで、何が原因でケンカしたの?」
「彼女が僕の話が愚痴ばかりで面白くないって言ってきてね。愚痴ぐらい聞いてくれてもよくない?」
「確かに愚痴ぐらい聞いてあげていいと思う。でも、愚痴ばかりじゃさすがにつまらないよ。もっと楽しい話をした方がお互い幸せじゃない?」
「僕もそう思うよ。でも……」
その後、爽やかお兄さんはずっと自分の非を認めなかった。しばらくすると切りがいいところで満足したのか、爽やかお兄さんは走り去って行った。
私は彼女さんの気持ちがわかった気がした。あれは長い間付き合っていけないタイプだね。そのうち、例の彼女さんの方から別れを告げられるだろう。
見た目は爽やかでも、中身はドロドロした醜いプライドでいっぱいだなんて、とても皮肉だね。今度から心の中で爽やかお兄さん(笑)とでも呼ぼうかな。
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