第15話

私は迎え人のナナシです

とある事情で廃墟で亡くなった少年を迎えに来てます

今日はその事情で二人の迎え人が一緒に来てます

「ここが、今日の現場か、楽しみだな」

こちらの黒のツナギの女性はイオヤさんです

「楽しみだなんて、嫌ですね、イオヤさん」

こちらの黒の着物の女性はクミさんです

「うるせぇよ、クミ」

私は二人の横を通りすぎ

廃墟へと入ると

二人は慌てて付いてきました

私達は扉の閉まった部屋の前へとたどり着きました

「それでは、開けますよ、準備は良いですか?」

「おう、大丈夫だ」

「はい、準備出来ています」

ナナシは扉を開けて

「貴方を迎えにきました、迎え人です」

そう言いながら、中に入ると

真っ暗な部屋に上下左右から無数の白い手が襲い掛かってきた

ナナシは驚きもせず、立っていると

背後から巨大なハンマーを持ったイオヤが物凄い速さで

ナナシの前に出て

ハンマーを振り下ろすと

手は風圧で吹き飛び

残った手はハンマーで潰されていた

「お前らの相手は俺達だよ」

野獣のような瞳で手を見た

「嫌ですわ、野蛮ですわね」

無数の手は後から入ってきたクミに向かって襲いかかった

「この程度で私の相手になると」

クミは着物の袖から黒の包帯状の布を出し

手を縛り上げた

「ここは抑えておきますので、ナナシさんは自分の仕事をなさって下さい」

「わかりました、ありがとうございます」

ナナシはそう言うと奥の壁へと歩き出した

手は次々とナナシ襲いかかるが

イオヤとクミによってふさがれていた

壁へと着いたナナシは壁へと手を突っ込み

「見つけました」

壁から手を引っこ抜くと

気絶した少年が握られていた

ナナシは少年を肩に担ぐと

「それでは、失礼します」

「おう、俺達ももうちょいやっていくわ」

「気をつけて下さい」

「ありがとうございます」

ナナシは少年を担いだまま

物凄い速さで廃墟を後にした

今日、迎えに来た少年は悪霊によって殺された少年です

そして、あの二人は悪霊専門の迎え人です

まぁ、迎え人が来るのはある条件をクリアした悪霊ですが

それはまたの機会にでも

私は迎えに行く

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