自虐ネタではありません3
そもそも私は父――コルテーゼ男爵の血を引く一人娘で、本来ならこんな場所にいなくていいはずだ。おとなしく継母や義理の兄妹に従った三年前の自分が許せない。
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十三歳の時、優しい母が流行病でなくなった。
悲しくて苦しくて、私はお墓の前で連日泣き続ける。母を愛していた父も
だから私は、気分転換に外出してはどうかと父に勧めた。領内の気の良い村人たちと触れ合えば父も元気を取り戻すと、そう考えたのだ。
娘の言葉を受け入れた父は外出することが多くなり、徐々に顔色も良くなった。仕事も以前ほど精力的ではないけれど、きちんとこなすようになる。
これで一安心だと思った矢先、父はある女性を家に伴う。茶色の髪で桃色の瞳。母くらいの年齢で整った顔立ちだが、目つきは鋭く冷たそうだ。
でも、人を見た目で判断してはいけない――亡くなった母からそう教えられていた私は、父の親しい友人だというその女性を歓迎した。
その人はやがて、自分の子供を連れてくる。男の子は私より一つ年上で、女の子は三つ年下だ。仲良くしてほしいと言われた私は、複雑な思いはあったものの、二人と遊ぶことにした。
けれど、男の子はカーテンや扉の陰にすぐに隠れてしまう。一方女の子は、すごく意地悪だ。
『なあにその髪の色。肌も真っ白で気持ち悪い』
『そんな!』
『そこへいくと、私の髪は金色で綺麗でしょう? 瞳は桃色で可愛いし。母さんがいつも褒めてくれるの』
自慢ばかりするその子を、私はあまり好きにはなれなかった。
まさか父は、この人たちが好きなの……?
悪い予感は当たるもので、父はその女性と再婚し、私に
義兄は私をじろじろ見るくせに、話そうとすると逃げていく。義妹はわがままで私をバカにするし、自分が注目されないと
その三年後、今度は父が馬車の事故で
ところが継母は、それから幾日も経たないうちに私に修道院行きを勧めた。
『わたくしだって悲しいざます。でも、誰かが
『なぜ修道院なんですか? それなら田舎に……お墓の側にいたいです』
『お金もないし、
『お金がない? お父様が私のために用意してくれた持参金があったはずでしょう?』
『生活費に
うちが財政難だなんて、初めて聞いた。
だけどその時の私――愚かなシルヴィエラは、継母の言葉を疑いもせず、修道院にまっすぐ向かってしまったのだ。
その半年後、私を訪ねてここに来たメイドによって事実が明かされる。
なんでも彼女は継母の怒りを買い、王都にあった男爵家を解雇されたのだとか。都会暮らしが
『わざわざありがとう。何も知らなくて、ごめんなさい。なんなら田舎の家で雇うというのも……』
『お嬢様、ご存じないのですか? 田舎の屋敷はとっくに売り払われていますよ』
『……え?』
『それに、謝るのは私の方です。私は我が身可愛さに、シルヴィエラ様を裏切りました』
『裏切った? どういうこと?』
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