2020/02/23 21:49/鷦鷯飛蝗

すべらかな気がしてた

遠く淋しい暖かみの演出として

点在する暖かさとして

優しさとして

嘘みたいなんてことはない

確かにありふれた期待


行き交う風の果て

行きつくからには凪であって

始まるからには芽吹いている

薫りだけが無惨に充満しているから

わたしたちの体には毒になると

園丁の一人が言っていた


名前を落とした園丁たちの調べ

削ぎ落される観念は機械仕掛けの感性が選別する

選んだことの無い音は響かせない

いつの日か、誰かが鳴らした薫りたちのリフレイン


遠くなっていた

立ち入りさえ禁じていた

身勝手な主が

いつかもう戻れないところまで旅立ってしまって

手足を喰われた糞尿を食べて伸びる木々の

一番美しい悲鳴を植えた庭だから

たまに夜空がさやかに零す雪の

冷たさも撫でるような戯れ

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