2020/02/18 21:15/鷦鷯飛蝗

「そうしたらね、あのひとったらわたしのおなかのすこし下のあたりを撫でるように睨め回してね、わたしとってもきもちわるくて、ねぇ、おとうさん、殺してしまってくださいまし」

甘く重くべったりとまとわりつくような声で囁かれて、私は思わず逃げました

おとうさんなどであるものか

ちがいます、ちがいます、私は

泣き顔を辿って、点々と彼女はどこまでも着いてきました

焚いたって無駄です

つながりはいつも私を苦しめる

ありもしない枝を幻視するように

彼女は虚空の隙間から生えてくる

だから埋めたんです、お墓は大切です

効率のための仕草です、その他には

逸脱した幻想はすぐわかりました

強かな嘘も聞き取れなくなってきたころです

再び彼女は泣いていました

雪がさやかに

後悔を積もらせていました

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