2019/11/17 22:39/鷦鷯飛蝗

事程左様に天井が斜めで

屹立する自己だけが

転倒した重力に湯掻いている

黒光りは不徹底な夢で

晒されなかったあの贄の

中身だけ揃えて墓場に均した


幽閃劃霊ゆうせんかくりょうに連綿と暴けて

馥郁たる利己だけが

捻転した釉薬に塗り込められる

弓引く先は不健全な飢えで

赦されなかったあの日への

悔恨だけ唱えて死神を突き刺した


咲いてない花がそこにある

芽吹かない種の咲きとして在る

割れ目の無い空をなぞれば

失ったものの少なさに愕然とする

泣き出す前に寿げと

強いられた日々の怒りを

墓前だからとまた耐えて過ごすんだ

吐き出せる日は来ないと知りながら

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